現量の了別とは、現在生起し存在している現象界をありのままに観察し了別することで、誤謬がないことを指す。比量の了別とは、意識が思考・分析・推理・判断を可能にするもので、ありのままの了別である可能性もあれば、そうでない可能性もある。非量の了別は意識の幻想や推論・想像に依存し、その結果が正しい場合も誤っている場合もある。現量境の存在を知覚するには識心の分別と了別活動が必要であり、これを欠けば現量境の存在を認識できない。もし識心の分別や了別がなければ、われわれは世間に対し真に無知となる。
現量境とは現前に存在する境界を指し、第七識が即時に直接了別可能なものである。他の塵境と比較対照する必要も、思考や想像、仮定を要することなく、直接に現前する五塵境を発見できる。前五識は確実に現前する五塵境界を直接了別し、意識は五識に依拠して同様に現前の五塵境を直接了別する。比較や仮定、想像を経て初めて了別が成立する場合は明らかに意識の比量了別であり、ゆえに意識には現量・比量・非量という三種の了別が存在する。
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