阿那律陀、即座より起ちて仏足を頂礼し、仏に白して言う。我、初め出家の時、常に睡眠を楽しむ。如来は我を叱して畜生類と為す。我、仏の叱責を聞き、啼泣して自ら責め、七日間眠らずして両目を失う。世尊は我に楽見照明金剛三昧を示したまう。我は眼によらずして十方を観見し、精真洞然たり、掌中の菴摩羅果を観るが如し。如来は我に阿羅漢の位を印可したまう。仏が円通を問わしめ給うに、我が証する所に依れば、旋見は元に循う。これ第一と為す。
釈:阿那律陀は座より起ち、仏足を礼して申し上げた。出家当初私は常に眠りを貪り、如来より畜生の如しと叱責を受けた。その言葉を聞いて慚愧の念に駆られ、七日間不眠を続けたため両目を損なった。世尊は楽見照明金剛三昧の修行を教え示された。
金剛三昧を修得して後、肉眼によらず十方世界を照見し、微細真実の理が透徹して明らかなること、掌中の果実を観る如くであった。如来より阿羅漢果の印可を受け、円通法門について問われた際、眼根の外に向かう作用を反転させ、見性の根源を内観する修行法──これが私の証得した第一の法門である。
阿那律陀はこの金剛三昧を修するに当たり、日々心眼をもって色境を認識する本源を反照し、禅定を深めるにつれ観智が研ぎ澄まされ、ついに根源を究明して三昧を現前せしめ、天眼通を獲得して第四果を証した。
修行において戒定慧を具足し精進すれば、金剛三昧は必ず現前する。これは実修の模範である。知識の蓄積に満足し慢心を抱く者は、空中楼閣の如く死後何も残さず、如来蔵と共に来世に赴くも、何を得ようか。
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