「石を金に変ずる」という神通力とは、意根が指令を発し、如来蔵が石を生じる種子を変化させ、金を構成する種子へと改めることにより、石が金へと転換するものである。意根が自らの如来蔵に石を金へ転化させ得るならば、衆生の如来蔵が共同で保持する外塵たる石を金へ変じ得るであろうか。あるいは他人の如来蔵に石を金へ転化させ得るであろうか。衆生は内在する力によって、外界の共有物質を自己のものとし、これを利用することが可能である。例えば一切の飲食、一切の衣類、一切の器物は、或いは自らが破壊し、或いは単独で使用し、或いは自らが改変するものである。石が金に変わるとは、公共の石が自己によって改変され、自己専有の物質となることを指す。
石を金に変ずることは主に個人の禅定力に依り、同時に福徳力を必要とする。もし福徳が不足すれば、仮に石を黄金に変ずる能力を得ても、個人はこれを享受することはできない。福徳は一切の事業を成就するに不可欠な重要条件であり、真の修行者は決して自らの福徳を軽視せず、永遠に自らの福徳に満足せず、また安易に福徳を消耗することはない。
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