雑阿含経第一巻

世尊は諸比丘に告げたまわく：汝ら色陰の無常を観ずべし。色陰の無常を如実に観ずる者は、すなわち正観を行ずるなり。もし色陰の無常を正しく観ずれば、色陰に厭離の心を生ず。色陰に厭離の心を生ずれば、色陰への愛貪を断ず。色陰への愛貪を断じ尽くせる者は、すなわち心解脱を得た者なり。

かくのごとく受陰・想陰・行陰・識陰の無常を観ずべし。受想行識の四陰の無常を如実に観ずる者は、すなわち正観を行ずるなり。正観を行ずる者は、四陰に厭離の心を生ず。厭離の心を生ずれば、四陰への愛貪を断じ尽くす。四陰への愛貪を断じ尽くせる者は、すなわち心解脱を得た者なり。

かくのごとく比丘よ、心解脱を得た者がもし自ら解脱を得たことを証し、無余涅槃に入らんと欲すれば、すなわち自ら証すること能う。他に依って証せらるることを要せず。彼は証して曰く：我が無量劫の生死は今生に尽き、更に生死あることなし。我が清浄なる梵行はすでに立ち、心は清浄にして再び欲を為さず。今生に我が為すべき所作はすでに成じ、自ら知る：再び未来世の欲界有・色界有・無色界有を受けることなく、三界に再生することなく、命終われば無余涅槃に入らん、と。

世尊また諸比丘に告げたまわく：汝ら五陰の苦・空・無我を観ずべし。かくのごとく観ずる者は、すなわち正観を行ずるなり。正観を行ずる者は、五陰に厭離の心を生ず。五陰に厭離の心を生ずれば、五陰への愛貪を断ず。五陰への愛貪を断じ尽くせる者を、我は心解脱を得た者と説く。心解脱を得た者がもし自ら解脱を得たことを証せんと欲すれば、彼は自ら証すること能う。彼は証して曰く：我が生はすでに尽き、梵行はすでに立ち、所作はすでに成じ、自ら知る：有を受けることなし。時に諸比丘ら仏の説きたまう所を聞き、大いに歓喜して信受し奉行せり。