四供養において 量を知り足るを知れ
大いなる怖れ未だ免れず 宜しく精進を勤むべし
一切の苦至る時 悔恨も及ぶ所なし
衲衣を着し樹下に坐し 応に得る所の食を以てすべし
味を貪るが故に 自ら毀敗を致すこと勿れ
食過ぎて味の処を知れば 美悪皆同じきに異なりなし
愛好は憂苦を生ず 是を以て愛を造ること莫れ
行業の世界に住めば 美悪更えざるはなし
一切已に具に受けし 当に是を以て自ら抑うべし
釈:汝らは飲食・臥具・医薬の四供養において適量を知り、過分を求めざるべし。生死の大いなる恐怖と憂い未だ免れざる時は、勇猛精進して修行に勤むべし。一切の苦難来たり臨む時に至りて悔恨交々しも、避くるに及ばざらしむることなかれ。衲衣を着て樹下に端坐し仏法を思惟し、自ら受くべき飲食を以て食すべし。美味を貪求するが故に、自らの道業を毀損することなかれ。飲食過ぎて後は、一切の味塵の美悪差別なきを知り、飲食の味を選り好ますべし。愛する所あれば即ち憂苦あり、故に貪愛の業を造作することなかれ。人として大千世界に生きるに、美悪の事に更えざるはなし。一切の事柄ことごとく領受せし故に、当に自心を降伏制御し、多く貪求することなかれ。
若し畜獣の中に在らば 草を噛みて具味と為す
地獄に在りては鉄丸を吞み 燃え熱く劇しく鉄迸る
若し餓鬼道に在らば 膿・火・糞尿
涕唾の諸不浄 これを以て上味とす
若し天宮殿に在らば 七宝の宮観の中
天食の蘇陀味 天女以て心を娯ます
人中の貴き処に務むれば 七種の饌に衆味備わる
一切曾て更えし所 今何を以てか愛す
往復する世界中 厭うべく更に苦楽の事
未だ涅槃を得ずと雖も 当に此の利を勤めて求めよ
釈:汝ら過去世において畜生獣中に生を受けた時は、野草を以て最上の飲食と為せり。地獄に生まるる時は鉄丸を吞み、燃え滾り火星迸るも、悪業の故に食わざるを得ず。餓鬼道に生まるる時は、人の吐く膿痰・猛火・糞尿・涕唾等を以て最上の味と為して食せり。
天界の七宝宮殿に生まるる時は、蘇陀の上味なる天食甘露等を食し、天女と共に娯楽す。人中の富貴の家に生まるる時は、七種の珍宝を具足せる一切の色香美味を食せり。これら種種の一切、汝ら曾て経歴せし所なり。今何を以てか貪愛を以て六道を往復し、再び種種の苦楽の事を受けんとする。汝ら今未だ涅槃の楽を証得せざるに、精勤努力して此の殊勝なる利益功徳を得んことを求むべし。
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