第八識の念心所の法

第八識にも念心所法が存在します。例えば、第八識は母胎の中で業種を了別しつつ、四大種子を出力して胎児の色身を変生させます。業種を了別し終えると、心は業種を記憶し、業種に応じて対応する四大種子を色身に出力します。第八識が耳などの器官を形成する際、少しずつ変造しながら自らの作業量や内容を記憶し、次の段階の変造計画（時期・内容・使用する四大種子の量・比率構造）を詳細に把握しています。この内部的な把握こそが念心所法の現れであり、ただ意識のように言語化できないだけです。第八識は未完成の執持・変造対象について、再開時期・内容・場所を正確に記憶保持し、六祖の言う「真如は念無くして無不念なり」の如く、一切法を念じ続けます。

第八識には定心所法も具わります。「那伽は常に定中にあり、不定の時無し」と説かれる如く、首楞厳大定や金剛宝定などは第八識の定を指します。この定は極めて堅固で出入りがなく、如何なる法もこれを破壊したり動揺させたりできません。世間のあらゆる禅定も第八識の定の万分の一に及びません。第八識が善悪業種を実現し因縁果報を成就する際、如何なる法もこれを阻害できず、八風に動かされず紫金蓮上に端座します。世出世間の一切法に攀縁せず、如何なる利益にも染着せず、仏果さえも求めない金剛の如き定力を具えています。

第八識は慧心所法も具現します。第八識の慧は般若波羅蜜多と呼ばれ、生死の彼岸に至り一切法に沈溺せず解脱する大智慧です。一切法を了別し創造するこの智慧は、業種を如実に了別し六大種子を駆使して漸次あるいは瞬時に一切法を変造する能力を発揮します。第六・七識が仏となっても及ばない領域であり、一切の状態を如実照覧するこの智慧は、仏の第六・七識の思量を超越しています。第八識の智慧は究竟の域に達しつつ、常に一切を超越した境地を保持し続けるのです。