財宝少なきを嫌い、惜しまず万里を行く。無常の到来する時、他郷に客死す。
財宝積み多き時、眼を閉じる時節の到る。平生多く努力すれど、死にては両々空空たり。
無量の宝有ると雖も、其の命を贖うこと能わず。
将相の功を求むるが為に、万骨枯るるを憚らず。将相は今何処に在るや?唯見るは荒山の冢のみ。
英雄たる項羽の若きは、覇業は転頭にして空し。蓋世の秦始皇と雖も、寿は金石の長き無し。
其の勢力に恃むと雖も、宝命の断たるるを免れず。
美人多く恩愛す、唐皇の三千の寵。殊勝多しと為すも、只一の空花に過ぎず。
大難の頭に臨む時、紅顔は禍水と成る。君王は江山の為に、貴妃は馬前に死す。
貴妃若し長寿ならば、色衰いて愛弛れんや否や。
色を以て人に事うれば、能く幾時の好を得ん。玉顔無きに如かず、一身の禍を惹かざるには。
恩愛は何の物ぞ、只一の感受に過ぎず。世人此れに貪恋すれば、六道に輪回有り。
菩薩は善巧妙にして、人に般若 (prajñā) の行を教う。世間法を求むるは、是れ顛倒想なり。
四聖諦を学ぶべし、早日に我見 (ātma-dṛṣṭi) を断ぜよ。三悪道に落たらず、是れ最も実際なり。
多く福徳を修むるは、是れ道の資糧なり。六根攀縁少なく、心多く法を思惟す。
深く禅定を修め、観行 (vipaśyanā-caryā) より智慧を生ず。菩薩の心殷切にして、弟子は常に感恩す。
多く精進すべし、菩薩の恩に背かざれ。願わくは早く度を得て、仏に学び衆生を度せん。
9
+1