優婆塞五戒相経第一節原文:道中に遣わして死なしむる者。この道中に悪獣飢餓あるを知りて、悪道の中に往かしむ。かくの如き念を作し、かの悪道中に死なしめんとす。死する者は悔い難きを犯す。余の者も亦た犯す。上に説くが如く同じ。これを悪道中の殺しと名づく。
釈:人を道中に派遣して殺害する方法とは、優婆塞が事前にその道中に悪獣が飢餓状態にあることを知りながら、殺害対象者をその危険な道に派遣し、心に『かの者が凶路で死ぬように』と念じることを指す。対象者が死亡した場合、優婆塞は不可悔の罪を犯す。即死しなかった者が後日死亡した場合も同様に不可悔の罪となる。即死せず後日死亡しなかった場合には中可悔の罪となる。これが凶路を利用した殺害方式である。
人が獣に食い殺された場合、直接の加害者ではないが、優婆塞が計画的に仕組んだ結果であるため、優婆塞自らが殺したのと同等とみなされる。これは直接手を下すよりも罪深く、無辜の獣と対象者に悪縁を結ばせ、将来獣が業報を受ける際には一命を以て償う以上の惨禍を招来する。
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