四念処経における意根の修習法（意根修習編）

世尊が説かれた四念処経の観行の方法は、すなわち意根を訓練する方法でございます。まず呼吸を観ずる点におきまして、世尊は弟子たちにありのままを観じさせられました。眼前の呼吸がどのような状態であるか、そのままを観じるのであり、意識の思惟や想像を加えてはなりません。意識はただ意根を呼吸という事柄に引き寄せる役目を担い、それ以外に干渉せず、念を起こさず余計なことを致しません。いかにして意識が意根を呼吸に引き寄せるのでしょうか。意識が注意力を呼吸に固定し、ただ呼吸を見守ればよいのであり、言語文字や独白を用いる必要はございません。この時、意根は意識を指揮できず、他の法に縁を攀じることが叶わぬゆえ、意識の焦点に従って呼吸を観ずるのみとなるのでございます。

呼吸を観ずる中で、意識は呼吸の出入りや長短などの状況を了知し、いかなる加工も加えません。意根も次第に衆縁を捨て、意識と共に専心して呼吸を観じ、刹那ごとの呼吸の状況を了知します。次第に習慣となり、自動化された如く、行住坐臥にわたり呼吸を観ずるようになります。習慣を養うことは大変重要で、習慣が確立すれば即ち主宰となり、月日が経ち因縁が熟する時、呼吸の真相と色身の空・無我の真相を発見するのでございます。他の法を観ずる場合も同様で、意根という野馬を繋ぎ留め、その念を当処に定め、心細やかなる時に真相を発見するのでございます。もし意根を繋ぎ留めなければ、意根は心猿意馬となり注意力が散漫し、智慧が生じず、真相を発見できぬまま生死の流れに随って転流を止むことがないのでございます。

四念処経は大変優れた経典でござい、その修行方法は大乗・小乗に通じます。その用功の方法は即ち誠実に観じ、ありのままに観じ、他念を起こさず加工せず、意識が意根を牽引し、意根が意識の妄想を抑制し、共同して五蘊無我を証得するのでございます。この行門は一切法の観行と修証に通じ、後世の修行にも通ずるもので、後世再び仏法に遇う時も自動的にこの如く観行し、修証は容易となるのでございます。四念処経に説かれる観行の方法、すなわち意根を訓練する方法は、意根を導き牽制し観行の習慣を養うもので、後には自然と水到渠成し、あたかも無功用行の如く任運自然となり、必ずや智慧を開くことが叶うのでございます。