修心時の傍観者・監督者は意根か意識か？

或る人が問う：私の行住坐臥や心の動きの中に、常に傍観者・監督者が存在し、これら全ての行為を厳しく見張っている。この傍観者・監督者は意根か、それとも意識か。

問い手自身が自らを傍観し監督していることは確かである。ある程度修行を積まなければ自らを監督し傍観することはできず、このような覚醒と自律は、自らに煩悩や不足を認識して初めて自己を変えようとする心が生じ、その思いが起こった後にこそ、自らの言行や心の動きを傍観・監督できるのである。

一般的には意識が自らを傍観・監督している。この「自ら」とは五蘊であり、これらの心の動きや身体・言語の行為は意根が主体となって造り出したもので、意識もこれに関与してはいるが主導的ではなく、受動的に関与することが多い。故に意識は自らの心行を観察し、意根の心行を理解する必要があるのである。なぜ意識が常に自らを反観・監督できるのか。これも意根が修行を通じて覚醒を獲得し、意識に自らを反観・監督させるからである。意根が未だ覚悟していない段階では、自らの心念や心行を深く分析・理解することを極めて厭い、通常は自らを覆い隠すことが多い。

意根の煩悩が重く覚醒していない時、常に自他を欺くことを好む。自らを欺こうとする存在が、どうして意識に自らを反観・監督させ、自らを分析・理解させようか。ましてや他者が自らを理解・分析することを望むはずがない。このような覚醒なき者は極めて自らの欠点を庇い、自らの短所を庇う者は自らを称賛し、他者が称賛しなければ自らを賞賛し、自らを引き立ててこれにより自我の安堵と満足を得ようとする。このような者の心は脆弱であるが故に、自他からの肯定を必要とし、そうして初めて安らぎを覚えるのである。自らの欠点を庇う行為のある者は、他者の勧告や助言に耳を貸さず、このような者と議論や説得を試みても効果は薄い。自らを正しく認識し変容させようとする意志ある者に対してこそ、勧告は意義と効果を生み、他者から疎まれることなく、ましてや衝突を招くこともないのである。