一念不生とはどのような状態でしょうか

一念が生じない時には、独頭意識は存在せず、独頭意識が存在する時には必ず念があります。念とは即ち独頭意識の念であり、五俱意識はただ知り、了別し、分別するのみです。五俱意識がただ了別し知る状態に留まり、分別しない状態にある時、それが一念不生の状態であり、この時意根の知る機能作用が比較的明らかに顕現します。意根には知があり、また念もあるのですが、意識がはっきりと認識していないのです。この状態はまた禅定の状態にあり、心は乱れず複雑ではなく、事柄も少なく簡素です。一念が生じない時、意識は念を生じませんが、意根はそうではなく、意根の念は通常絶えず続いています。例えば一念不生の状態で突然ある事柄を思い至り、直ちに身を起こして外出し用事を済ませる場合、これこそ意根が意識の念が生じない時に、念頭が転動した結果なのです。

この状態は如何にして現れるのでしょうか。これもまた意根が主導して選択を促した結果であり、意根が縁に攀じず、法を分別しようとしないため、意識はただ従順に静かに存在し活動するのです。これはまた意根に特に思惑がなく、意根に顕著な念がない時です。もし意根に思惑があれば、意識を駆り立てて造作させ、意根の思惑を実現させます。もし意根が他の法を念じていれば、意識は必ず気を散らして処理に当たり、静かでなく動揺し慌ただしい状態となり、これでは安定せず禅定も得られません。