時折、朝に目が覚めたばかりの時、自分がどこで寝ているのか分からず、1、2分経っても自宅にいることに気づかないことがあります。これは意識の一時的な空白(断片)です。意識の大きな空白とは、新しい五蘊が生じた後に、茫然自失となり過去世の一切を忘れる状態を指し、神通力がなければ一生涯を忘れてしまいます。小さな空白とは、昏睡から覚めた後、泥酔から醒めた後、睡眠から目覚めた後、そして死後に中有身が生起する際に、意識が連続して現れない場合に生じる現象です。
意識は何によって過去と繋がるのでしょうか。それは俱有依(くうい)の意根によるものであり、もちろん第八識も関わりますが、ここではまず触れません。意識が最初に現れる時、過去を懸命に思い出そうとしますが、一切の念は意根が意識に与えるものです。朦朧とした状態では、眼前の境界のみを了別でき、覚醒前の全ての事柄は認識できません。意根が意識に思考や回想を促すと、意識は回想を始めますが、その内容も意根が縁となって得た法(ダルマ)であり、意識は絶えずそれらを了別・判断し、やがて記憶が呼び起こされます。実際には、意識が回想するそれらの法は全て如来蔵によって現出されたものなのです。
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