無生忍とは何でしょうか？

無生には二つの意味があります。一つは、五蘊の世間法が表面的には生滅があるように見えても、その本質は空であり無生であるということで、生はただ幻化された仮の相に過ぎず、生じても無生であるという認識の智慧です。この五蘊無我を忍可するのは大いなる智慧であり、無生忍と呼ばれ、これが小乗の無生忍です。無生のもう一つの意味は、法界の真実である如来蔵が無生であり、先天に存在し不生不滅であることを指します。如来蔵の無生を忍可することもまた大いなる智慧であり、これも無生忍と呼ばれ、大乗の無生忍です。大小乗の無生を合わせて観察すれば、世間出世間の一切法が無生であり、涅槃寂静であり、一法として執着すべきものはなく、執着する者もしない者もすべて無生であることがわかります。

なぜ「忍」というのでしょうか。従来、五蘊が実在するものと考え、生滅する現象も真実であると思い、五蘊が無生であることを知りませんでした。今や大小乗両面から五蘊が空で無我であることを証得し、この極めて理解し難い理を認め、忍んで受け入れるには大いなる智慧が必要です。智慧がなければ忍耐し認めることはできません。故に忍は智慧なのです。

小乗で無生忍を得るには四聖諦の理を修学し、五蘊を観行して五蘊の空・五蘊無我を証得しなければなりません。空の現象は存在しますが、この空もまた空であるため無生です。小乗修行者がこの理を忍べば、無生忍と呼ばれます。この無生忍の智慧の境地は大乗無生忍より劣弱で粗雑であり、地上の菩薩が証得する無生法忍の智慧に比べればさらに低く浅いものです。

大乗無生忍は、大乗菩薩が本心如来蔵を証得する智慧の境地です。如来蔵を頓悟すると同時に五蘊無生の理も頓悟し、如来蔵も五蘊も無生であることを心中で受け入れ忍可すれば、無生忍の智慧が現れます。以前は五蘊身の運行中に不生不滅の如来蔵が存在することを知りませんでしたが、今や如来蔵の存在を知ります。ただし未証得時は単なる知解に過ぎず、証得後初めて本心が確かに不生であることを知ります。これが真知です。真知と同時に、五蘊が如来蔵から生じ如来蔵に依存して存在することも証得します。五蘊は生滅を繰り返し、造作した業行が種子として如来蔵に保存され、後世に種子が発芽して新たな五蘊が生じるため、如来蔵は滅することなく、故に生じられた法ではありません。

忍とは、耐え忍び、認め受け入れる意味であり、安住する意味もあります。忍辱は他人の侮辱を耐え受け入れ、反撃しないことです。四加行における忍は、能取所取の空・五受陰の空・十八界の空を心中で忍可し承認することを指します。無生忍と無生法忍の忍も同様に、諸法の無生と無我を受け入れ認め忍可し、心中に抗争も疑いもなくなることです。これが大いなる智慧が生じた現れです。