人は死後に悟りを開くことはできません

問：ある者は、死後に悟りを開くことができると考えています。死後、五陰が散壊し四大が分離し、中有の身が未だ生じていない間隙こそが真如であると説いていますが、私にはその状態が無余涅槃に似ているように思えます。和尚様、詳しくお説きください。この人物は悟りを開いているのでしょうか。

答：もし五陰が散壊し四大が分離し、中有の身が生じる前の間隙が真如であるとするならば、その時点では真如以外何も存在せず、意根もなく六識もなく色身もなく、ただ真如のみが存在する無余涅槃の状態となり、三界の生死の苦から解脱しているはずです。もし全ての者が死後に無余涅槃の状態となるのであれば、我々が四念処観を修行し四聖諦の理を学び、我見を断じて解脱を求める努力は何の必要がありましょうか。仏陀がこの世に来て阿含経を説き衆生を教化されたことも、全く無意味なことになってしまいます。明らかにこれは甚だしい誤謬です。

死後中有の身が未だ生じていない間隙において、色身と六識は滅していますが、意根は決して滅することはありません。もし意根が滅するならば、どうして後に中有の身が現れ、来世の五陰世間が存在し得ましょうか。意根が中有の身を必要とするが故に、如来蔵が意根の求めに応じて中有の身を生じさせるのです。凡夫や三果以前の聖者の意根が滅しない以上、この間隙には第七識（末那識）と第八識（阿頼耶識）が存在しており、どうしてこれを真如と言い得ましょうか。仮にこの時ただ真如のみが存在し無余涅槃の境地であるとしても、悟りを開く主体は誰でしょうか。第六識（意識）第七識が存在しない状況で、いったい誰が悟るというのでしょうか。真如自らが自らを悟るなどということがあり得ましょうか。明らかにそうではありません。

死後の間隙に意根と七・八二識が共存している状況下で、悟りを開くことが可能でしょうか。もし可能であるとしても、それは意識の補助なく意根単独の悟りとなります。意識が「これが真如である」と意根を導くことなく、意根単独で真如を認識するほどの大いなる智慧を有しているでしょうか。明らかに不可能です。もしそうであれば、衆生は死後に悟りを開く確率が極めて高くなり、多くの者が聖果を求めて早く死ぬことを願うでしょう。以上の考察を通じて、この人物が悟りを開いているか否かは、わざわざ私が明言するまでもなくご自身で判断できるはずです。