人間の本性を変えるとは習性を変えることです

ある人が言うには、人間性を理解するには動物の世界をよく観察すべきで、動物の世界が理解できれば、人間性の一部も理解できると。この言葉に道理はあるか。なぜか。

六道の序列は下から順に地獄道・餓鬼道・畜生道・人間道・天道・阿修羅道である。ただし阿修羅の衆生は前五道に分布し、五道に含まれると見做せる。衆生が輪廻する中で、畜生道と人間道は隣接し、習性も近似している。畜生道から人間道へ転生した後、人間性と畜生の性質は近似・相似する。我見を断たぬ者は必ず再び畜生道に戻り、畜生の性質を具足する。この話は聞き苦しいが、前回煩悩の問題で畜生道に触れた際、誰も応答を避けたことから、皆がこの問題を忌避していると悟った。しかし忌避は問題解決にならず、問題に直面して初めて道理が明らかになり、解決に至る。

習性は意根に現れる。人が畜生から人間へ移行する際、意識は変化するが意根は変わらず、本質的には依然として畜生あるいは鬼類の衆生と同様である。そのため後世の輪廻において再び三悪道に転生し、三悪道の衆生性を具足することになる。

人間としてのわずかな福徳（名利・権勢・地位・種族）に執着すべきではない。三悪道へ堕ちれば全て無に帰し、普通の人間にも及ばない。よって仏法に遇うならば、重点的に意根を修め、意根を改めるべきである。意根が一旦変化すれば、心性の属性が変わり、三悪道の衆生との差異が生じ、果報も異なる。

自己を改めんとするならまず己を知らねばならず、己を知るには自己を観察するだけでなく、同類を観察し、さらに畜生類や鬼類を観察すべきである。それらは近似して大差なく、全てを理解すれば己を充分に知り得る。そして己を知って初めて、自己を改める方途を得られるのである。