一部の人々には心理的な障りや煩悩が存在します。例えば疑心が強い、小心で物事を恐れる、不安に駆られる、焦燥感、怒りっぽいなど、これらは全て煩悩であり心理的障りです。これらの問題が生じる要因として、純粋に心理的要因、すなわち前世から引き継いだ業障による場合もあれば、身体の健康状態と直接関係がある場合もあります。脾虚、心虚、肝鬱、胆の疾患など身体的原因によって引き起こされることもあります。
世間ではよく「心を修め性を養う」と言われます。人の性格や気質は心性の現れであり、性情とは心理的な情緒を指します。この心理情緒は身体の健康状態と関連する場合があり、内臓器官に問題があると心理情緒に異常を来たします。一般の人々はこれを修養の不足と見做しがちですが、実際には身体の素質が向上すれば心理的素質も自然に向上し、修養も高まります。身体の問題が心理的問題を引き起こすのは一時的な現象であり、根本的な問題ではありません。四禅を修得せず色陰区宇を超越していない限り、色陰の身体に伴う影響や周囲の磁場環境の影響を受けます。色陰区宇を超えれば、身体が如何なる状態にあろうとも心理に影響せず、刀で斬られ斧で切られようとも顔色一つ変えず心静かでいられます。
故に世間には「身を修め性を養う」という説も存在します。しかし極めて身体が強健であるにも関わらず心性が劣悪な者も多く、こうした人物は真に心理的問題を抱える者です。一方で身体の影響で情緒不安定になる者は、必ずしも心性が劣っている訳でも修養不足でもありません。例えば元来極めて温和な性格の者が、突然身体障害を負いその現実を受け入れられず性格が激変し粗暴になった場合でも、一旦身体が回復すれば元の温和な性情に戻ります。肝鬱を患う者も同様で、肝火の亢進により焦燥感や怒りっぽさが生じますが、肝鬱の症状が消え肝火が収まれば、元の穏やかな性情に復するのです。
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