問:神通を使う時、相手の家に自分の全ての動機や行跡を埋め込むことになるのでしょうか?因果を負うことになるのでしょうか?神通をどう捉えるべきか?神通の短所を避けつつ菩薩道を実践するにはどうすればよいか?
答:現代人のいわゆる神通は多くが報通であり、前世で修めた福徳などの果報によるもので、その報いが尽きれば神通も消滅します。真の神通は四禅定を修得した後に発するもので、禅定が消えなければ神通も常に存在します。四禅定から来る神通は菩薩たちも、阿羅漢や辟支仏たちも、外道たちも持っています。菩薩たちは因果を理解しているため神通を乱用せず、行いには節度があります。阿羅漢や辟支仏は心が清浄で世間の人々や事柄に興味がなく、戒行を保ち因果をある程度理解しているため、同様に神通を乱用しません。外道たちも四禅定を得て心は清浄ですが、煩悩が完全に断たれていないため、私利私欲から時折神通を使い因果を乱し悪業を造る可能性があります。ただし禅定から神通を得た者は、衆生の利益を損なうような不法な行為に安易に神通を使うことはありません。
報通を持つ人々は普通の人間であり、煩悩が制御されず智慧も不足しているため、因果を乱し他人を侵害する事例が多く見られます。私の見た事例から言えば、煩悩を充分に制御せず因果の利害関係を理解していない者が神通を使うのは、因果を背負い悪業の果報を受ける危険があるため避けるべきです。大志を抱いて神通で衆生を救おうとする者は、因果に明るい善知識の指導の下で慎重に神通を使う必要があります。例えば他人の心中や過去を覗き見る行為は盗戒に触れる可能性があり、一般人の心は細やかでないため知らずに戒を破る危険があります。
「仏菩薩が衆生の過去未来を全て知るのは盗戒に当たらないのか」との疑問には二つの理由で否定されます。第一に仏菩薩の知は無心の自然な知覚であり盗心がなく、第二に仏菩薩と衆生は一体で利益相反が存在しないためです。阿羅漢や辟支仏も同様に無心で知り、外道も概ね節度を守ります。ただし因果をある程度理解した品德ある者は、他人が忌避する事柄を避け、神通で知った情報を取捨選択し沈黙を守ります。
総じて現世で報通を得た者は、禅定による煩悩制御が不十分で智慧も未熟なため、神通の使用は控えるべきです。ただし家族や親しい者のことを知るために使うのは、やむを得ない場合に限り許容されます。
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