原文:法において実に証するもの無く、取らずも離れず。法は有無の相に非ず、内外いかにか起こらん。
解釈:自心の真如は一切の仏法に対して修証を要せず、無明なきが故に修行せずして解脱を得る必要なきなり。三界の一切法及び自身に対し、永劫に取り執わず、また離れる心もなし。真如の相は有にも無にも非ず、これを有と説くも形相無く触れて捉え難く、無と説くも実在の功用を具え、真実に一切法を生じ、無量の法種を蔵することあるを以て、無と説くべからず。これ実相なり、実相とは真実有の謂い、ただ此れのみが真実有にして、他は皆空と幻化なり。真如は形相無きが故に内外を立てず、内は虚無にして外は無形、しかも万法を蔵す。これを証得せざれば、いかに思量を尽くすとも、その妙を悟る能わざるなり。
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