金剛喩定よりこのかた、無間なく永く一切の煩悩品の粗重なる種子を害し、その心はこれらに対して究竟解脱し、畢竟種姓清淨を証得す。諸々の煩悩究竟尽きたる中に、尽智を発起す。因尽きたるが故に、来たるべき苦果は畢竟生ぜず。即ちこの中に、無生智を起こす。彼の時に至りて阿羅漢と成る。諸漏已に尽き、所作已に辦じ、復た為すべきこと無く、自義を証得し、諸有の結を尽くし、已に正しく如来の聖教を奉行し、心善く解脱せり。
釈:この金剛三摩地を経て後、無間断に永劫に一切の煩悩種別の粗重なる種子を断じ、その心は諸々の煩悩より究竟解脱し、畢竟種姓清淨を証得する。一切の煩悩究竟尽きたると同時に、世間尽智を発起す。煩悩の因が尽きたる故に、来世の苦果は畢竟再生せず。煩悩尽きたると同時に、五蘊世間の無生智が生起す。この時第三果の修行者は第四果阿羅漢となり、諸漏已に尽き、所作已に成じ、後有無く、三界の結尽き、完く如来の聖教を奉行し、心善く解脱せり。
第四果阿羅漢には無間尽智と無生智を具す。無間尽智とは無間断に世間一切の煩悩を断尽し、三界世間の一切苦を滅尽し、如何にして三界世間を出離し解脱を得るかを知る智慧を指す。無生智とは五蘊世間の苦・空・無常・無我を証得し、五蘊世間が虚妄なる故に無生にして不実なることを了知する智慧を称す。
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