黙念と知念における心の行いとは

咒文を唱える際、声に出して唱えても黙念しても、それは独頭意識による念である。意根の念には言語文字が伴わない。黙念を知る「知」は意識の反観力であり、この反観力こそ証自証分に当たり、独頭意識が自らを了別し反観する働きである。ただし極めて熟達した場合、意根にも念と知が生じる。意識が黙念する時、意根は知を有し、意識が反観する時も意根は知を有するが、この知は深く秘奥であり、認識し察知することが困難である。意根は独頭意識の反観作用と咒文を黙念する機能を、全て自己の機能作用であると見做し、自らが念じ知っていると認識する。

禅定が良好な場合、意根も咒文を唱えることに参与し、意識がこれを観察できるが、意識と意根の各機能の境界が判然とせず混同されやすい。禅定を得た時、第一に身心を分離でき明瞭となり、連動が密接でなくなる。第六識と第七識もそれぞれ分離可能で、互いに距離を置くことにより初めて明瞭さが現れ、各法に対する虚妄の感覚が生じる。禅定を欠く場合、諸法が絡み合って分離できず、判然と見えないため、混然とした法を真実かつ現実的と感じ、執着が強くなり煩悩が重くなる。禅定の功徳は言葉に尽くし難く、禅定なき者は修行あると称すべからず。