瑜伽師地論 第三十四巻（七十三）

原文：諸の聖諦を現観した後、乃至永く見道の所断する一切の煩悩を断ずるを、遠離作意と名づく。またこの後より、進んで修の断ずべき惑を断ぜんと欲し、得たる道のごとく、さらに数数に修習し、永く欲界の上品・中品の諸煩悩を断じおわりて、一來果を得る。預流果の所有する諸相のごとく、今ここにおいてもまたしかるべしと知るべし。ただし少しく差別あり。

釈：四聖諦を現観した後、見道で断ずべき一切の煩悩を永遠に断じ切ることを遠離作意と称し、これは預流果の境地であり、欲界の下品の煩悩を断ずるものである。さらにその後、修道上で断ずべき惑を進んで断じようと、証得した預流果の我見を基に、いっそう精勤して修行を重ね、欲界の上品・中品の煩悩を永遠に断じおわって、一来果を証得する。預流果が具える功徳と同様に、一来果の者もまた同様の功徳を具えるが、ただし若干の差異がある。