瑜伽師地論 第三十四巻（四十四）

このように証成の道理及び修増上の故により、無常行に於いて決定を得たる已後、此れより無間として苦行に趣入し、是の如く思惟す。是の如き諸行は皆無常なり。無常なるが故に、決定して生法性有るべきなり。是の如き諸行、既に生法なれば即ち生苦有り。既に生苦有るが故に、当に知るべし、亦た老病死苦・怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦有りと。此の如く暫く不可愛行によりて苦行に趣入し、是の如く復た漏有り取有する、楽受に順ずる一切の蘊の中に於いて、結縛行によりて苦行に趣入す。

釈して曰く、此の如く実証の理及び修行増上の縁故により、心中に於いて無常性に対し既に決定を得、此れより以後は無間断に苦行に趣入する過程に入る。苦行を修習する時、此の如く思惟す。此等の諸行は皆無常なり。無常なるが故に、決定して生法性有るべきなり。此等の諸行、既に生法なれば即ち生苦有り。既に生苦有るが故に、当に知るべし、亦た老病死苦・怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦有りと。此の如く暫く不可愛行によりて、苦行の修習段階に入り、更に漏有り取執する、楽受に随順する一切の蘊の中に於いて、結縛行を観察し、苦行の修習段階に入る。

観行を以て諸行無常を証得したる後、心は無間断に三苦・八苦を思惟し、苦行に趣入す。無間断に苦行に趣入するとは、意根と意識が同時に無常法に対し心中決定を得、諸行無常を確認し、更に共同して諸行は苦なりと証得することを謂う。