法智と類智

《瑜伽師地論》第三十四巻の原文：彼はこのように自らの内に現前する五蘊を、諸々の諦理に依りて顛倒なく尋思し、正しく観察した後、さらにその他の異なる分界に属し現前せざる五蘊に対し、比量をもって観察する。すなわち、彼の所有する有為有漏は一切処に遍じ一切種に遍じ、一切時にわたって常にこのような法あり、このような理に堕し、このような性を有する。彼の所有する滅は皆永遠に寂静し、常住安楽なり。彼の所有する道は皆永遠に断じ、究竟して出離する。当に知るべし、ここにおいて現見する諸蘊への諦智と、その他の異なる分界に属し現前せざる境への比量による諦智とは、即ち法智と類智を生ずる種子の依処である。

釈：瑜伽行者はこのように自らの内身に現前する五蘊を、四聖諦の理に基づき顛倒なく尋思し、正しく観察した後、さらに他の異なる分界に属し現前観察できない五蘊を比量によって観察する。五蘊中のすべての有為法・有漏法は、一切処に遍じ一切種子に遍じ、一切時にわたって、現前に観察される法と同様に、四聖諦の理に摂属し、苦・空・無常・無我の性質を有する。これらの法は全て生滅するものであり、滅した後は永遠に寂静し、寂静後は常住安楽となる。世間のすべての道は永遠に断滅し、究竟的に世間の苦から出離する。

これらの法の観察において、現前存在する五蘊を如実に観察し、現量をもって四聖諦の真実理を証得すれば、法智が生じ、これが法智の種子の依処となる。現前存在する法以外の、現前せざる五蘊法を比量観察して証得した智慧は類智となり、類智の種子の依処となる。

ここに法を証する二つの方式が説かれる。一つは現在存在する五蘊の如実観察、もう一つは非現前存在する五蘊の比量観察である。両方の観察によって諦智を得る。非現前存在する五蘊とは、現在の刹那の前後の五蘊を指す。例えば今日の五蘊が現前するなら、昨日以前と明日以後の五蘊は非現前の五蘊となり、現在の五蘊と時間点は異なるが、五蘊の性質と特徴は同じく、同類であり共通性・可比性を有する。

例えば今年の五蘊が現前するなら、去年以前と明年以後の五蘊は非現前となる。今世の五蘊が現前するなら、前世と後世の五蘊は現前観察できない。三大阿僧祇劫の五蘊も現在の五蘊と同一の属性を有し、無始劫以前から無始劫以後に至るまで、全て共通の属性・性質・特徴を具え、同類で可比性を有する。神通によって見る五蘊は全て現前観察であり、比量観察ではなく、法智を得る。同類の衆生の五蘊及び一切衆生の五蘊を観察する場合も類智を得る。衆生は皆同類の有情であるからである。

正しい比量観察は法智と類智を生じる。現前存在する五蘊を正しく如実観察した上で、さらに非現前存在する他の五蘊を比量観察すれば、法智と類智が生じ、見道の無生智を得る。分界とは過去・未来の異なる時期の法と現在の法の境界を指す。法と法に境界が生じれば、観察方法も異なり、得られる智慧の種類も異なる。現見可能な法は現量観察し、現見不能な法は比量観察する。正しく如実に観察すれば、諦智と無生忍を得る。

回向文：当ネットワークプラットフォームにおける全ての弘法と共修の功徳を、法界の一切衆生に回向し、世界の民衆に回向いたします。世界の平和を祈願し、戦争起こらず、烽火燃えず、干戈永遠に止み、一切の災難ことごとく消退しますように。各国人民が団結互助し、慈心をもって相対し、風雨順調に国泰民安となりますように。一切衆生が因果を深く信じ、慈心をもって殺生せず、善縁を広く結び、善業を修め、仏法を信じ学び、善根を増長し、苦を知り集を断ち、滅を慕い道を修め、悪趣の門を閉ざし涅槃の路を開きますように。仏教が永く興隆し、正法が永住し、三界の火宅を極楽の蓮邦と変じますように。