原文:問。経中に説くが如く、六界を縁として母胎に入ることを得とす。何故此の中に、唯だ識界を説くや。答。若し識界有らば、決定して母胎の中に、精血の大種、腹穴無きに非ざるが故に。又識界勝れたるが故に。又一切の生に依り、一切有の生時に説くが故に。
釈:問:経典に説かれるように、地水火風空識の六界を縁として初めて母胎に入ることができるとされているのに、何故ここではただ識界を縁とする入胎を説くのですか。答:母胎に阿頼耶識界が存在すれば、必ず母胎中の胎児に必要な五大種子から成る精血が、身根の五臓六腑や七竅に遍満して欠けることがないため、名色は阿頼耶識界を縁とするものと説かれるのです。また阿頼耶識界は心法であり、一切法中最も勝れたるが故に、阿頼耶識を縁として母胎に入ることを得ると説くのです。更に一切法の出生、及び一切有の生起に依拠して、阿頼耶識が最勝であり入胎と名色出生の直接因縁であると説かれるのです。
胎に入る識界は必ず阿頼耶識であり、六識ではありません。胎に入ると六識は滅し、胎内初期には六識は存在せず阿頼耶識が存在するからです。胎中の受精卵の色は阿頼耶識が生じた地水火風空の大種子によって生じ変化し保持され、胎内の第七識は阿頼耶識が識種子を提供することで維持されます。故に胎に入るのは識界たる阿頼耶識であり、地水火風空界は説かれません。阿頼耶識が存在すれば、地水火風空の大種子も存在するのです。
原文:問。六処も亦た飲食を縁とす。何故此の中に、但だ名色を縁と為すや。答。此の中に名色を説くは、是れ彼の生因なるが故に。彼既に生じ已りて、亦た飲食を以て任持因と為す。
釈:問:眼入処・耳入処・鼻入処・舌入処・身入処・意入処も飲食を縁として生じ、飲食があれば名色が増長し六入中の五入もそれに従って増長するのに、何故ここでは六入が名色を縁として生じるとだけ説くのですか。答:ここで名色を説くのは、それが六入の生因となるからです。六入は直接名色の上に生じ、名色がなければ六入は存在し得ません。胎中最初の名は意入処であり、受精卵の色の上に次第に五入が生じます。故に名色は六入生起の因縁なのです。六入が生じた後は、飲食を六入を維持する因縁としますが、飲食は六入生起の因縁とは説かないのです。
原文:問。触は三和を以て縁とす。何故此の中に、但だ六処を縁と為すや。答。若し六処有らば、定めて余の二つ無きに非ざるが故に。又六処勝れたるが故に。六処の二種を摂するが故に。
釈:問:触は根・塵・識の三者和合を縁として現れるのに、何故ここでは触が六処を縁として生じるとだけ説くのですか。答:六処が存在すれば、必ず残りの六塵と六識も現れ、六塵と六識が欠けることはありません。故に六処を代表とするのです。また三者の中で六処が六塵と六識より勝れているため、三者和合において決定作用を及ぼし、六処が六塵と六識を摂受するからです。故に触は六処を縁として現れると説くのです。
回向文:当ネットプラットフォームにおける一切の弘法と共修の功徳を以て、法界の衆生に回向し、世界の民衆に回向します。世界の平和を祈願し、戦争起こらず、烽火興らず、干戈永遠に止むことを。一切の災害ことごとく消退せんことを。各国人民が団結相助け、慈心をもって相対し、風雨時に順い、国泰く民安んずることを祈願します。一切衆生が因果を深く信じ、慈心をもって殺生せず、善縁を広く結び、善業を修め、仏法を信じ学び、善根を増長し、苦を知り集を断ち、滅を慕い道を修め、悪趣の門を閉じ、涅槃の路を開かんことを。仏教の永き興隆と正法の永住を祈願し、三界の火宅を変じて極楽の蓮邦とならんことを。
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