瑜伽師地論十二因縁釈（十四）

原文：問。経中に説くが如く、諸業は貪瞋痴を縁とす。何故此の中に、唯だ痴を縁と説く耶。答。此の中には通じて福・非福・不動の業縁を説く。貪瞋痴の縁は、唯だ非福業を生ずるが故なり。

釈：問：経典に説かれるように、衆生の全ての業行は貪瞋痴を縁として造作されるが、何故ここでは唯だ無明を縁と説くのか。答：ここでは福行・非福行・不動行の三種の業縁を全て包括して無明を縁と説くのである。貪瞋痴を縁とする場合は、非福業行のみを生起させる。

貪瞋痴の煩悩を縁とすれば、必ず非福の悪業を造作し、福業や清浄なる不動業を造作することはない。しかし無明を縁とする場合は、三種の業行を全て造作するのであり、非福の悪業に限定されない。無明によって善行を為す者も多いが、これは世間の苦と空を了達しないが故である。

原文：問。身業語業は思の起こす所なり。是れ則ち行も亦た行を縁とす。何故但だ無明を縁として行を説くや。答。一切の行を起こす縁に依って説くが故なり。及び善・染汚の思を生ずる縁に依って説くが故なり。釈：問：身業と語業は意根の思心所によって引き起こされる。従って行もまた身行語行を生じる縁であると言えるのに、何故唯だ無明を縁として行を説くのか。答：これは一切の行（意根の行である思心所を含む）を起こす縁に基づいて説くからである。一切の行は無明によって起こり、意根の思は無明があるが故に作用し、身行と言業を生じさせる。また善きものと染汚なる思心所を生じる縁に基づいて説くからである。善を生じる縁も染汚を生じる縁も共に無明であるため、無明を縁として行を説くのであり、思心所の行を縁として身行語行を説くのではない。

回向文：我々のネットワークプラットフォームにおける全ての弘法と共修の功徳を以て、法界の衆生に回向し、世界の民衆に回向す。世界の平和を祈願し、戦争起こらず、烽火興らず、干戈永く息むことを。一切の災難ことごとく消退せんことを。各国人民の団結相助け、慈心相向かわんことを。風雨時に順い、国泰く民安んぜんことを。一切衆生が因果を深く信じ、慈心をもって殺生せず、善縁を広く結び、善業を広く修め、仏を信じ学び、善根を増長せんことを。苦を知り集を断ち、滅を慕い道を修め、悪趣の門を閉じ、涅槃の路を開かんことを。仏教の永き興隆を祈願し、正法の永住を願う。三界の火宅を変じて極楽の蓮邦とならんことを。