瑜伽師地論 第九巻 十二因縁釈（十五）

原文：眼処とは何か。眼識が依り立つ清浄なる浄色を指す。これによって色を過去に見、現在に見、未来に見る。眼処がこのようであるならば、耳処・鼻処・舌処・身処、さらには意処に至るまで、それぞれ相応する所に随って全てを知るべきである。一切の処において、三時の業用差別を説くべきである。これもまた二種あり、名色の種子に摂受された六処の種子、及びそれらから生じた果報の六処である。五処は欲界と色界にあり、第六処は三界に通じる。

釈：眼処とは、眼識が生起し作用するよりどころとなる清浄な勝義の眼根を指す。清浄な眼根によって、過去・現在・未来の色を見ることができる。耳処・鼻処・舌処・身処、さらには意処も同様であり、意根に依って意識は過去・現在・未来の法を認識し、至る所で了知することができる。六識が各々の対象に至るのは、全て意根の選択によるものであり、意根が選択した後に六識が生起し、了別が可能となる。

六処には過去・現在・未来の三時の業用差別が存在する。業用には二種あり、第一は名色の種子に摂受された六処の種子（名色が種子位にあって未だ顕現していない段階）、第二は名色から生じた果報体の六処である。前五処は欲界と色界に存在し、第六処は三界に通じる。

原文：眼触とは何か。三和（根・境・識）によって生じ、境界の清浄微妙なる相を取ることを指す。他の触もまた各々の対象に応じて同様に理解すべきである。これも二種あり、六処の種子に摂受された種子触、及びそれから生じた果報触である。欲界には六種、色界には四種、無色界には一つの触が存在する。

釈：眼触とは眼根・色境・眼識の三和合によって生じ、清浄微妙な色境を認識する作用である。他の五触も同様に根・境・識の和合によって生じ、それぞれの対象を認識する。触には六処の種子に含まれる未発の種子触と、六処から生じた果報触の二種がある。欲界では六種の触が具わり、色界では四種（鼻触・舌触を除く）、無色界では意触のみが存在する。

原文：楽受とは何か。楽に順じた諸根と境界を縁として生じる快適な受を指し、受に摂される。苦受とは苦に順じた二縁によって生じる不快な受を指す。不苦不楽受とは、不苦不楽に順じた二縁によって生じる中性の受を指す。欲界に三種、色界に二種、第四禅以上乃至非想非非想処では第三の不苦不楽受のみが存在する。これも二種あり、触の種子に摂受された種子受と、それから生じた果報受である。

釈：楽受は六根と境界が楽に順じることで生じる快適な感受作用、苦受は苦に順じることで生じる不快な感受作用、不苦不楽受は中性の感受作用を指す。欲界では三種の受が存在し、色界では苦受がなく、第四禅以上では不苦不楽受のみとなる。これらは触の種子段階における潜在的な受と、実際に現れた果報受とに分けられる。

回向文：当ネットプラットフォームにおける一切の法施と共修の功徳を、法界の衆生に回向し、世界の民衆に回向いたします。世界平和と戦争の消滅を祈願し、烽火の起こらぬこと、干戈の永く止むこと、一切の災難の消退を願います。諸国民の団結と慈愛に満ちた相互扶助、風雨順時なる国泰民安を祈念します。一切衆生が因果を深く信じ、慈心をもって殺生を断ち、善縁を広く結び、善業を修め、仏法を信じ学ぶことで善根を増長し、苦を悟り煩悩を断ち、涅槃への道を開かんことを。仏教の興隆と正法の永住を願い、三界の火宅を極楽の蓮邦へと転じさせたまわんことを。