瑜伽師地論第九巻十二因縁釈（十一）

原文：復た七種の無知有り。一に世愚。二に事愚。三に移転愚。四に最勝愚。五に真実愚。六に染浄愚。七に増上慢愚。前の十九無知。今の七無知。相摂云何。謂わく、初の三無知は初の一を摂す。次の三無知は第二を摂す。次の三無知は第三を摂す。次の三無知は第四を摂す。次の四無知は第五を摂す。次の二無知は第六を摂す。後の一無知は第七を摂す。

釈：更に七種の無知が存在する。第一は三世（過去世・現世・来世）に対する無知。第二は五蘊世間の内外諸行事業に対する無知。第三は五蘊世間の相続運行・生滅変異に対する無知。第四は世間最勝の仏法僧三宝に対する無知。第五は五蘊世間の苦集滅道の真実の理に対する無知。第六は五陰身心の染汚と清浄に対する無知。第七は自心が縁起法を実証し通達することへの無知（未得を謂って得とす）。

前の十九無知と現在の七無知の相互関係は如何。十九無知中の前三無知（前際無知・後際無知・前後際無知）は七無知中の第一世愚を摂す。次の三無知（内無知・外無知・内外無知）は第二事愚を摂す。次の三無知（業無知・異熟無知・異熟業無知）は第三移転愚を摂す。次の三無知（仏法僧無知）は第四最勝愚を摂す。次の四無知（苦集滅道無知）は第五真実愚を摂す。次の二無知（因無知・因所生諸行無知）は第六染浄愚を摂す。最後の一無知（六触処如実通達無知）は第七増上慢愚を摂す。

原文：復た五種の愚有り。一に義愚。二に見愚。三に放逸愚。四に真実義愚。五に増上慢愚。前の十九愚。今の五種愚。相摂云何。謂わく、見愚は前六を摂し、及び因所生法無知を摂す。放逸愚は業異熟倶無知を摂す。真実義愚は仏法等乃至道諦無知を摂す。増上慢愚は最後の無知を摂す。当に知るべし、義愚は一切を通じて摂す。

釈：更に五種の愚がある。第一は一切法に対する愚痴。第二は正見なき愚痴。第三は生死流転への懈怠放逸。第四は三宝及び苦集滅道真実義への愚痴。第五は未得を謂って得とする増上慢。前十九愚と今の五愚の関係は、見愚が前六愚（前際・後際・前後際無知、内・外・内外無知）及び因所生法無知を摂す。放逸愚は業と異熟倶無知を摂す。真実義愚は仏法僧無知乃至四聖諦無知を摂す。増上慢愚は最後の六触処無知を摂す。義愚は全ての十九愚を包括する。

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