原文:故に先の異熟果に対する無明により、後の有を引き起こす。また第二の境界より生ずる受の果に対する無明により、境界の受に縁って愛を生ず。この愛により、或いは欲を発し、或いは有を求め、或いは欲取を執し、或いは見戒及び我語取を執する。
釈:前世の異熟果に対する無知の故に、後の世の三有を引き起こす。果は業による五陰身であり、異熟は後の世に熟するものである。後の三有が生じた後、さらに境界との接触によって生じる受の果報に対しても無知であるため、境界の受に縁って愛が生じる。境界に対する愛が生じる故に、五陰身は或いは境界への欲求を起こし、或いは三界の有法への貪求を起こし、或いは境界への貪欲取着を執し、或いは我見取着、戒禁取着、身我語の取着を執する。
原文:この愛取が和合し資潤して、先の引因を転じて有と名づけ、即ち後の有となり、生因に摂せられる。ここより無間にして命終われば、先の引因に随い、引き出された識等が受を最後として、これらの諸行は生じ、或いは漸次に或いは頓に現れる。
釈:このような愛と取の和合と潤いにより、前世の六識身の引因が後の世の有へと転名する。愛と取は後の三有が生起する因となる。永遠に途切れない生命体が命を終えた後、前世の引因に随って今世の六識が引き出され、最後に受が生じる。これらの業行の生起は、或いは次第に、或いは即座に現れる。
原文:かくの如く現法において、無明触の生ずる受を縁として愛が生じ、愛を縁として取が生じ、取を縁として有が生じ、有を縁として生が生じ、生を縁として老病死等の諸苦差別が、或いは生処に次第現前し、或いは種子として随逐する。中際において無明縁行等、受縁愛等の因縁により、後際の諸行が生ずることを知るべし。
釈:後の諸行が生じた後、現世の法において無明の触から生じた受を縁に愛が生じ、愛を縁に取が生じ、取を縁に三有が生じ、三有を縁に生が生じ、生を縁に老病死等の苦が現れる。これらの苦は生処(六道輪廻の処)で次第に現れ、或いは種子として阿頼耶識に蔵され、因縁具足すれば再び現行する。現世において無明が行を生じ、受が愛を生じるなどの因縁により、後の世の一切の行が生起する。
原文:復た先に資糧を集め、現法において他より法音を聞き、二果の諸行を修す。若し彼の因・彼の滅・彼の趣滅行について如理作意すれば、これにより正見が生じ、次第に有学無学の清浄智見を得る。この智見により無明と愛を永断し、無明触の生ずる受も永断する。この断により永く無明を離れ、現法において慧解脱を証する。
釈:前世に修行の資糧を積んだ者は、現世で法を聞く縁を得て声聞・縁覚の行を修める。十二因縁の理と滅への道を如理に観じれば正見が生じ、有学・無学の智慧を得る。この智慧により無明から愛までの縁起を断尽し、無明触の受も断じる。これにより現世で慧解脱を成就する。
回向文:当ネットプラットフォームにおける一切の弘法と共修の功徳を、法界の一切衆生に回向いたします。世界の平和を祈願し、戦争なき世を、災害退散を願います。諸国民の慈心相助、風雨順時、国家安泰を祈念します。一切衆生が因果を深く信じ、殺生を戒め、善縁を結び、仏法を学び、苦を識り集を断ち、涅槃を慕い道を修め、悪趣の門を閉じ、涅槃の路を開かんことを。仏教の興隆と正法久住を祈り、三界を極楽の蓮華郷とならしめんことを。
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