瑜伽師地論 第九巻 十二因縁釈（四）

原文：いかにして中際より後際の諸行が縁起によって生ずるや。中際においてすでに生じた補特伽羅は、二種の先業果を受く。内なる異熟果を受くると、及び境界より生ずる受の増上果とを謂う。この補特伽羅は、あるいは非正法を聞くが故に、あるいは先に串習したるが故に、二つの果に対する愚痴あり。

内なる異熟果に対する愚痴によって、後有の生苦を如実に知らず。後有に対する迷いにより、後際の無明の増上力によって、前の如く諸行に対し作し若しくは増長す。この新たに所作した業によって、この識を説いて随業識と名づく。

釈：現世の縁によって、後世の諸行が因縁によって出生する所以は如何。これは現世にすでに生じた有情衆生が、二種の前世の業果を受けることを説く。一つは自身の前世の業行がもたらした異熟果を受け、他は現世の環境の薫染によって生じた増上果を受ける。この有情は非正見の法を聞くか、あるいは過去の習慣によって、内なる異熟果と現世の増上果に対する愚痴を有す。

前世がもたらした異熟果に対する愚痴の故に、後世の五蘊の身が苦を生ずることを如実に知らず。後世の三有に迷うが故に、後際の無明が増大し、前世の如く身口意の諸行を造作し、あるいは更に増進して造作する。これらの新たに造作した業行によって、業力に随順する識を随業識と説く。

第六識と第七識は共に無明を有し、諸行を造作し、業力に随順する故に、共に随業識と称される。但し第七識の意根は刹那も離れず業力に随順し、第六識は断続的に業力に随順して諸行を造作す。入胎受生の際は第七識が業力の因縁に随って胎に入り、その後業力の故に第六識が生起して業果を受ける。

原文：即ち現法において、無明を縁として行が生じ、行を縁として識が生ずと説く。この識は現法において因識と名づけ、後の生じる果識を摂受する能きが故なり。又一切の識を総依して六識身と説く。この識は後有の名色の種子の随逐する所なり。この名色の種子は後有の六処の種子の随逐する所なり。

釈：現存する一切の法において、無明を縁として行が生じ、行を縁として識が生起す。この識は現世において因識と称され、後の世の果報識を引き起こす起因となる。前世と現世の六識を総合して、この識を六識身と称す。

この六識身は後世の名色を生ずる種子に随逐される。即ち後世の名色の種子は今世の六識身が造作した業行によって生じ、この種子によって後世の名色が成立す。この名色の種子は更に後世の六処の種子に随逐され、六処の種子は名色の種子に依って生起す。

原文：この六処の種子は後有の触の種子の随逐する所なり。この触の種子は後有の受の種子の随逐する所なり。かくの如く総じて中際において後有を引く因と名づく。この識によって乃至一期の身を受くることが了知すべし。

釈：六処の種子は後世の触の種子に随逐され、触の種子は後世の受の種子に随逐される。これら総じて現世の六識が後世の名色を引く因となる。故にこの能引の六識によって、一期の生命体を受けることを知るべきなり。

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