三、原文:また五色の根。根の依る所の大種。根の処所。それらの能生大種を色と曰い、残りを名と曰う。識の執受により、諸根は相続法に堕ち、流転を得る。故にこの二種は識に依止し、相続して断えず。
釈:五色の根(眼・耳・鼻・舌・身)について再説する。これら五根が依るのは阿頼耶識中の地水火風空の五大種である。色ある五根を生じる大種を「色」と称し、五大種以外の識種子を「名」と称する。七識によって識種子が執受される。かくして諸大種が名色を生じた後、六根は前世から現世、さらに未来世へ至る相続法に堕ち、五陰身は生生世世流転して止まない。故に有色根と七識は阿頼耶識に依止し、生生世世相続して断絶しない。
この文は名色が識に縁る理を充分に証明している。名色の出生と相続運行は、完全に阿頼耶識が存在するが故である。色身の「色」は五大種によって構成され、七識の「名」は識種子によって形成される。これら六大種は阿頼耶識に帰属するため、阿頼耶識が名色五陰身を生じ、五陰身を流転運行せしめると説かれる。名色と阿頼耶識の関係がここに明瞭に述べられている。
原文:この道理により、現在世において識は名色に縁り、名色は識に縁る。束ねた蘆の如く、命終に至るまで相依って転ず。これを名づけて、前際より中際の諸行が縁起生じ、中際が生じた後は流転して絶えずと。胎生に依る者は流転の次第を説く。卵生・湿生の者は母胎の処を除き、余は前説の如し。
釈:この理により、現在世において阿頼耶識は名色に縁って初めて運行し、名色は阿頼耶識に縁って出生・相続する。両者は互いに束ねた蘆のように依存し合い、命終まで転じ続ける。前世の因縁により現在世の諸行が生起し、現在世が生じた後、五陰身は流転を続ける。なお、この生死流転において胎生有情はこの次第によるが、卵生・湿生有情及び母胎以外の出生有情も、前説の流転次第と同様である。
この文は特に識が名色に縁る理を強調する。阿頼耶識は名色に縁って初めて依託を得て運行するが、名色がなければ五蘊世間を運転できない。ただし阿頼耶識本体は名色を依託とせずして存在する。ここに名色が識に縁り、識が名色に縁る関係が明らかとなった。
原文:もし有色の有情聚中において、欲界・色界の化生を受ける者は、諸根決定し円満に生ず。前説との差別あり。無色界においては名を依り、色種子を依りて識が生起す。識を依りて名及び色種子が転じ、この種子より色は断絶すれども、後に再び生を得る。前説との差別あり。
釈:欲界・色界の有情聚において化生有情は、五色根が瞬時に円満出生する点で胎生と異なる。無色界有情は名(六・七識)に依って流転し、欲界・色界に化現する際は五大色種子に再び依り五識を生じ、七識に依って名種子と色種子を転ず。色種子への依存により、無色界で色身が断絶しても後世に再び色身を生じ得る点が前説と異なる。
原文:また福業によりて欲界の人天に生じ、非福業によりて諸悪趣に生じ、不動業によりて色・無色界に生ず。何を以て不生と為すや。不生の故に清浄究竟に趣く。
釈:福業を修めた有情は命終後欲界の人天に生じ、非福業を行えば悪趣に堕ち、清浄なる不動業を成せば色・無色界に生ずる。三界に生じないとは、後世の出生を離れ、三界を出て清浄究竟の解脱に至ることを指す。
回向文:当ネットプラットフォームの全ての弘法と共修の功徳を、法界の衆生に回向し、世界の民衆に回向す。世界の平和を祈願し、戦争起こらず、烽火興らず、干戈永く息む。一切の災難ことごとく消退せんことを。各国人民の団結互助、慈心相向かんことを祈る。風雨時に順い、国泰民安ならんことを。一切衆生に因果を深く信じ、慈心をもって殺生を断ち、善縁を広く結び、善業を修め、仏法を信じ学び、善根を増長せんことを。苦を知り集を断ち、滅を慕い道を修め、悪趣の門を閉ざし、涅槃の路を開かんことを。仏教の永き興隆、正法の永住を願い、三界の火宅を極楽の蓮邦となさんことを。
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