意識と意根の好む区別

心に好みが生じるのは、およそ二つの層次、あるいは二つの程度に分けられます。表面的なのは意識の好み、深層のものは意根の好みです。主体性を持たないのが意識の好みであり、好きなものを千方百計で手に入れようと行動を起こすのが意根の好みです。中毒や夢中状態、念念不忘となるものは全て意根の好みに属します。例えば家庭において家長が決定権を持つように、ある物事への好みには子供の好みと家長の好みがあります。しかし子供が何を好もうとも決定権はなく、家長の同意を得て初めて好みのものを得る手段が生まれます。一方家長は好みのものがあれば手段を講じて獲得します。子供は意識に相当し、家長は意根に相当します。 

もし意識の好みが意根に染まると、意根もまたそれを好むか、あるいは意識の好みを承認するようになります。そうなれば意根は好みのものを獲得しようと決断し、取りに行きます。意識の好みは一方で意根の影響を受け、他方で環境の六塵境界の影響を受けます。意根の好みは、一つには無始劫以来の煩悩習気に由来し、一つには意識の薫習に由来します。もし意識の好みが意根に染まらなければ、意根はこれを無視し、意識だけが空しく好みを抱くことになり、獲得できません。例えば仏法を好む場合、まず意識が好み、後に意根が好むようになります。もし意識が仏法を好んでも意根が好まなければ、精進することはありません。もし意根も仏法を好めば、孜々として求め、精進して修学します。長く堅持して放棄しないものは全て意根の好みによるものであり、断続的なものは意根が余り興味を持たず、意識に牽引・制御されている状態です。制御が効かなくなれば、意根は離れ去ってしまいます。