十二因縁の観点から見る意根の心所法

十二因縁において説かれる無明縁行・行縁識・識縁名色という三つの段階は、衆生の生老病死の苦が全て意根の無明によって引き起こされることを明らかに示している。意根の無明によって衆生は善悪の業と六道輪廻を生じるため、意根の無明は一切の煩悩を含み、あらゆる煩悩心所法を具備している。衆生は一切の煩悩を有するが故に分段生死と変易生死を経験するが、意根の無明が完全に断じ尽くされた時、衆生は仏となり、この時意根は一切の善心所法を具足し、恒常的に意根の働きに伴うようになる。従来は恒常的ではなかったが、特に凡夫の段階では、善心所法が意根に伴うことは稀であった。

要約すれば、意根は意識に劣らず一切の心所法を具えている。もし意根が一切の煩悩心所法を具えていなければ、心はそれほど染まらず、生死の業を造作することも苦受も少なくなるはずである。しかし衆生は無量劫より一切の生死の苦を具え、あらゆる生死の業を造作してきたことから、意根が一切の煩悩心所法を具備していることが分かる。もし意根が一切の善心所法を具えていなければ、心は完全清浄とはならず仏となることはできないが、一切衆生は最終的に必ず仏となるため、意根は一切の善心所法を具備しているのである。ただしこれらの善悪の心所法は恒常的に意根に伴うものではなく、凡夫衆生の意根には我見・我慢・我執・我痴という四大根本煩悩のみが絶え間なく付随し、一瞬も離れることがない。これら四大根本煩悩が生死の業と苦の根源であり、これらが引き金となって他の煩悩が顕現したり潜伏したりするのである。

我見の煩悩が断たれれば、他の三つの根本煩悩も次第に断じられ、四大根本煩悩が断たれると他の一切の煩悩も全て断尽され、分段生死は終了する。故に衆生が我見を断じた後、我見の煩悩は恒常的にも断続的にも意根に伴わなくなり、我執・我慢の煩悩が断尽されれば、これらは永遠に意根に伴わなくなる。我痴の煩悩も同様で、一旦断尽されれば意根の現行する煩悩は消滅し、命終すれば三界を出離して無余涅槃に入るのである。

凡夫衆生の意根は善心所法を具足せず、恒常的に伴うことはないが、煩悩心所法を断じれば善心所法が次第に具足され、恒常的に意根に伴うようになる。これが聖者の心の働きであり、もはや凡夫のものではない。要約すれば、凡夫衆生の意根には四大根本煩悩のみが恒常的に存在し、他の煩悩は断続的に現れる。『瑜伽師地論』もこのように論じている。凡夫の意根の善心所法も断続的であるが、煩悩を断じて聖者となれば善心所法が恒常的に伴うようになる。

ここ数十年、多くの人々が意根の心所法を大きく誤解してきた。その原因は止観の不足により意根の心行を直接観察できず、理解力も乏しいため菩薩の論述を誤解したことにあり、この誤解は現在まで続いている。諸大菩薩の止観の境地には差があるため、論述に矛盾が生じる場合、最も智慧深い弥勒菩薩の論述を主とすべきである。経典による裏付けがあれば経典を優先し、経典なき場合には実証の事実を基準とすべきである。畢竟、事実は雄弁に勝るからである。