意識と眼識が共に事物を了別する時、意識には現量による了別もあれば、比量による了別もあり、また非量による了別も生じ得ます。例えば山の高さについて、意識が直ちに判断できない場合、他の物体との参照比較を通じて初めて正確に判断できるのが比量了別です。意識の判断思考が誤る時、それは非量了別となります。山河大地が目前に存在する場合、通常は意識が想像・思考・比較を経ずとも直接に誤りなく了別できるもので、この時の意識は現量境を現量了別していると言えます。遠方の山頂に漂う白雲を見て、その動きに伴い大山も移動しているかの如く意識が判断する場合、この意識作用は非量了別に属し、誤った判断となります。
意識心が五境上の法境を現量了別している時、前五識は確実に存在し、同時に五境を現量了別しています。そうでなければ意識心は前五境に現れる法境の現量境界を了別できません。しかし現前する真実の現量境界であっても、意識が行う比量や非量の了別は時に正確であり、時に不正確です。不正確な了別は完全に非量の了別であり、誤った了別と言えます。
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