我見が薄らぐことによってこそ断じ得る

あらゆる衆生における我見・我執の程度は大きく異なります。当然ながら、我見・我執が軽微な者は容易に我見を断つことができますが、我見・我執が重い者は修行を通じて次第にそれを軽減した後でなければ、我見を断つ望みはありません。厚い氷が一気に水に溶けるためには、氷が徐々に薄くなり、次第に脆くなっていく必要があるのと同じです。仏法の修行とは、実際にはまず我見・我執を薄め、業障を漸減させ、覆い障りを軽くしていく過程であり、これこそが修行の功徳です。この基礎に立ってこそ、来世において迅速に我見を断つことが可能となります。 修行は漸進的な過程であり、一足飛びに目標に到達することは不可能です。絶えず進歩していること自体が喜ばしいことです。基礎が脆弱な者は、自身の実情に合った低い目標を設定すれば、修行に希望が持てます。必ずしも全ての目標を明心見性に定める必要はなく、達成できないからといって落胆したり修行を放棄したりすべきではありません。意根における我見という厚い氷は次第に薄く脆くなっていくものであり、その中間こそが修行なのです。