青天観行日記 7月6日
座禅八十六日目 観呼吸
坐法を整え十回の深呼吸を行う。気道が長く通じ丹田が温かくなる。その後般若心経を黙誦し、経文の冒頭から究竟涅槃までを念じつつ、次第に意識を経文に集中させる。妄念が減り腹式呼吸が深まるにつれ、観呼吸へと移行。意識の対象を経典の黙誦から呼吸の観察へと転じる。吸気時には長い吸気をしていると知り、呼気時には長い呼気をしていると知る。この時点で以前より定力が増し、持続可能な状態を維持できる。呼吸に伴い次第に両耳が外側に膨らむ感覚が生じたが自然に消失。呼吸は自然で楽になり、悠長さを増す。腹部は温かく柔軟で広々とし、心は安らぎを覚え、座を下りた後も身心が愉適である。
評:観行仏法は禅定が安定し観行の定力が具わって初めて為し得るもので、単に観じ続けることではない。禅定が未だ安定せぬ場合は先ず身心を修め定力を養うべきである。修業途上では各自の現状に適した様々な方法を用いて身心を安定させ定力を強化できる。定力が具わった後に観行するのが正観であり、さもなくば乱観に堕し時間を浪費するだけで成果を得られない。
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