坐禅による観行の功夫が熟達した後は、活動時に心を静かに保ちつつ呼吸観察を継続する訓練を行う。坐禅で極めて清浄な境地に至り、観行に専念している状態を維持したまま、徐々に座を下りて地上を経行し、歩行や散策を速緩自在に行いながら、この時自分の心念が依然として呼吸に縁り、周囲の塵境に転じられないかを観察する。もし転じられなければ、呼吸観察の定力が良好である証左となり、その後は如何なる時でも比較的集中して呼吸を観じられるよう訓練を進める。活動中にも呼吸観察が可能であれば、その定力は坐禅時を凌ぐ優れたものであり、呼吸観察の功夫は極めて深遠に達したと言える。かくして歩行・坐臥の功夫が渾然一体となるのである。
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