我見を断つ正義

我とは、第七識である意根を指す。意根は五陰の中の色陰を我とし、受陰を我とし、想陰を我とし、行陰を我とし、六識の識陰を我とし、また自らを我とする。それ故に我見が生じるのである。六識は依他起性であり、転々として生じるもので、第七識である意根に利用される一つの工具である。ちょうど五陰全体と色身における頭と四肢の関係のように、五陰は常に色身の各部分を我とする。同様に、意根は無始劫以来ずっと五陰の各部分を我としてきた。当然、第八識の功能作用も我と見做してきたのである。

意識の我性は微弱で、意根の我性の強大さには遠く及ばず、比較的断じ易い。一般的に言えば、意識は五陰無我の理を薫習し、少し思惟を加えれば道理を明らかにできる。しかし意根の思惟観察力は弱く、無始劫以来の無明が深く厚く、その智慧を厳しく覆い隠しているため、道理を明らかにし難く、意根の我見は極めて断じ難い。古来より真に我見を断じた者は極めて稀で、鳳凰の羽や麒麟の角のように少ない。たとえ仏陀在世時においても、証果を得た者の比率は大きくはなかった。故に我見とは主に意根の我見を指し、我見を断ずるには必ず意根自らが意識と共に無我の理を参究し、現量において五陰が確かに無我であることを観察できてこそ、真に我見を断じたと言えるのである。

もし単に意識が復唱機のように、文章を暗誦する形式で文字を読み上げ、定中で深く細やかな思惟観行をしなければ、意根は永遠に薫習を受けず道理を明らかにできない。これは単に意識が文字の表面を浅く扱う行為に過ぎず、せいぜい五陰無我を解悟する程度で、五陰無我を実証することはできず、従って我見を断ずることはできない。

我見を断ずるのは意根の親自的な証得であるならば、明心して真心である第八識を証悟するのもまた意根の親自的な証得か。答えは同じである。無始劫以来、意根は常に五陰六識の功能作用を我とし、第八識の功能作用をも我としてきた。自らが何者でもないことを知らず、一方で第八識に依存し、他方で五陰六識に依存することで、初めて自らの所謂我の功能作用を持ち、三界において生存し、その虚妄なる我の功能作用を成就してきたのである。

では意根に無明を断じさせ仏道を成就させるには、一方で五陰の大樹を伐り倒し、その依存を断つ必要がある。他方で真実の第八識を証得させ、一切法が第八識のなすところであり、自らの功能作用ではないことを知らしめねばならない。こうして意根は法界実相を見極め、無明を少しずつ破り除け、我執と法執を次第に断尽し、徹底的に無我となり、遂には仏世尊となるのである。