末法衆生無明愚痴深重

末法の世において衆生の心は浮ついておりますが、ある人々はまさに衆生の浮ついた心に迎合し、衆生の機嫌を取ろうとします。もし少しも衆生の悪習に逆らわないのであれば、どうして衆生は悪習を改め、解脱を得ることができましょうか。

衆生は貪欲であるだけでなく愚かでもあり、刀の先端に付いたわずかな蜜を舐めようとするようなもので、結局何を得るのでしょうか。誰も深く考えようとしません。多くの者は眼前のわずかな利益に目を奪われ、三悪道に堕ちる危険を冒しております。一見大胆に見えますが、実は愚痴に起因し、目先のことに囚われて、未来永劫の大いなる利益を考えることができないのです。

大多数の者は実際には自己の利益のみを考えておりますが、その行いによってかえって利益を得られないばかりか、既に持っている利益さえ失うことがよくあります。しかし誰もこの点に気付かず、見ようともしません。なぜでしょうか。無明と愚痴のため、煩悩が自らの目を覆い、真の利害得失を見極めることができないからです。

因果に関して、多くの者は真に信じておらず、常に侥倖を抱き、因果は他人に降りかかるもので自分には及ばないと思っております。そこで自己の利益のために、他人が自分の指示に従わなければ必ず悪果が訪れると言いながら、自らに迫り来る悪果に気付かず、まさに悪因を造り続けているのです。

私が仏教を学び始め経典を読んだ頃、因果応報に関する実話に触れ、因果の道理が真実不虚であることを確信し、身口意の三業を慎んでおりました。しかし現代の修行者は経典を読まず、仏教の教えが何を説いているのかも知らないため、心が盲目となり因果の道理を理解できておりません。

現在はインターネットが発達し、悪業を造ることが以前よりはるかに容易になりました。指先ひとつで悪業が全国に広まり、まさに嘆かわしい限りです。自らの指先がもたらす悪果に気付く者は誰もおりません。無知だからこそ恐れを知らず、心が塞がれて他人に盲従し、善悪の区別もつかずに重大な悪業を造り、後悔の念さえ抱かないのです。

ある者は他人に唆され、教唆されて悪業を造っております。例えば「このように行えば問題ない。因果は私が引き受ける。あなたには善果のみあって悪果はない」と言われ、その言葉を真に受けてしまうのです。しかし因果が現れる時、各々が自らの果報を受けるのであり、互いに代わることはできません。たとえ肉親であってもどうすることもできないのです。