円覚経原文:「善男子よ!ただ諸菩薩及び末世の衆生は、一切の時に住して妄念を起こさず、諸の妄心にも亦た息滅せず、妄想の境に住して了知を加えず、了知無きに於いて真実を弁ぜず。彼の諸衆生は是の法門を聞き、信解受持して驚畏を生ぜず。是れを即ち随順覚性と名づく。善男子よ!汝ら当に知るべし!是の如き衆生は已に百千万億恒河沙の諸仏及び大菩薩を供養し、衆徳の本を植えたり。仏は是の人を説いて一切種智を成就せしと名づく」
釈:これは如来蔵の自住の境界を指す。如来蔵の体性を説くもので、七識心の住すべき境界ではない。如来蔵の体性は、いかなる時も決して妄念を起こさず、また七識の妄心を消滅させることもない。様々な妄想境界に如来蔵の顕現があるが、如来蔵はこれらの妄想境界を知ることはなく、自らが諸妄想境界を知らないことも知らず、知らざることに就いて真実性を弁別せず、自らにこのような体性があることを知らない。道種智を有する菩薩のみが如来蔵のこれらの深細な体性を理解できる故、これが地上菩薩の随順覚性である。
如来蔵性のこの境界を認め取ることが修行であり、真にこの境界に達した者が仏である。これは理性的な世界、即ち如来蔵の境界であり、大菩薩の覚知心もこれを為し得ず、まして凡夫においてをや。先に説かれた如く、この法門を聞くこと、これが法門、即ち如来蔵法門である。信じ、解し、受け、かつ行じ得るこの如来蔵法門は、入地菩薩の随順覚性であり、地上菩薩のみが真に理解し随順し得る。この覚性に随順して円満に至れば、即ち諸仏の円満覚性となる。ここに至り、この衆生は百千万億の諸仏及び大菩薩を供養し、一切種智を証得して仏道を円満成就する。
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