意識が証果してもなお具縛の凡夫である

意識による悟りの証得は極めて迅速かつ容易であり、多大な代償を払う必要もなく、禅に頭を悩ませる労苦も不要である。最も重要なのは禅定を修める必要がなく、これほど手軽なことはない。禅定の関門は突破が最も困難で、特に苦痛を伴い、時間を消耗する上に足の痛みに耐えねばならず、多くの世俗的な事柄を妨げられる。意識による悟りの証得は戒律を厳守する必要がほとんどなく、三帰依や五戒も免除され、最も煩雑な三十七道品の修行も不要で、膨大な時間と労力を節約できる。福徳もさほど高くある必要がなく、菩薩の六波羅蜜中の前五波羅蜜も免除され、実に簡便である。ただ意識を用いて理論的知識を学び、思考・理解・分析・推量・推理・統合・帰納を行えばよく、これらの操作に集中力を要さず、過度に頭脳や心を疲労させることもない。これらは秘書の日常業務と同様で、平均的な知能があれば対応可能である。

このような悟りの証得は実に安価であり、多大な代償を払う必要がなく、理論的知識を大量に得て人の注目を集め、崇拝を受けることができる。妻子を捨てて出家修行する必要もなく、親族との別れや愛着を断つこともない。男女関係を「衆生を救済する」と称し、世俗の事業を廃することなく、大衆からの供養を受け入れ、菩薩法師となり、勝義僧として出家僧を凌駕し、出家と在家の利益を兼ね備え、世俗的利益を最大化できる。意識による悟りの証得にはこれほど多くの利点があるゆえ、誰がこれを捨てられようか。

しかしこのようにして悟りを証得した後は、わずかな煩悩さえ断つことが根本的に不可能であり、煩悩に縛られた凡夫と何ら変わるところがない。ある者は「三果と四果のみが煩悩を断つのであって、初果と二果には煩悩があるのは当然」と自己弁護する。初果の者と凡夫の煩悩が同質同量であることも「当然」とするのであれば、初果の者は本質的にあらゆる煩悩を具足した凡夫であり、初果は名ばかりで実態がないことになる。どうしてこれが我見を断った初果の者と言えようか。このような形で仏法が行われれば、仏教が滅びないはずがあろうか。

世間には邪法や邪師が多いが、それらの邪法は非常に低劣であり、仏教の根本を破壊することも、基盤を揺るがすこともできない。例えば某法師が説く如来蔵論は全くの妄説だが、仏教の主流の発展に影響を与えることは不可能である。彼が救済する衆生の根基は極めて浅く、苦心して引き出しても大した働きはできず、仏教に対する脅威とはならない。また密教で行われる男女双修法などは外道の行法に他ならず、その次元は非常に低劣で、少しの智慧ある者なら見分けがつき、深入りすることはない。深入りする者の大半は業障が深く善根が浅い者であり、苦労して救い出しても大した存在にはなれず、仏教の支柱となることは不可能である。仏教を滅ぼし得るのは外道や外道法ではなく、常に仏教内部からである。いわゆる「獅子身中の虫、自ら身中の肉を食らう」のである。

したがって三世の仏教の基盤と重点は、悟りの証得と明心見性という極めて重要な段階にある。この段階で重大な問題が生じなければ、仏教の将来の発展は安泰である。ゆえに我見を断ち明心見性に至る根本法は、誰もが伝授できるものではない。決して軽率に行ってはならず、もしみだりに衆生の法身慧命を害するならば、たとえ将来五百生の野狐となろうとも叶わぬ望みであり、受ける悪果はこれよりも無数倍深刻である。乱伝の法を支持する者は悪を助長するに等しく、その果報も極めて悪い。よって皆様には因果を深く考え、仏法を厳粛に受け止め、衆生と仏教に対し高度な責任感をもって臨まれるようお願い申し上げる。