第八識特有の了別性

第八識の分別性は、深く細かくて知り難い。第八識は業種、根身器界、および七識の心行を了別することができる。その了別性によって初めて、根身器界や七識と調和し、業種を実現するのである。第八識の了別性は、五遍行心所法の形式で作用する。五遍行心所法は刹那刹那に第八識の運行に伴っている。まず第八識は業種と根身器界に対して作意し、業種と根身器界に触れ、業種と根身器界を受容し、業種と器界を了別分別し、業種・根身・器界の相を取る。これが想心所法の作用である。その後、思心所が作用して選択・決定を行い、最後に造作を開始し、七大種子と業種を出力する。こうして万法が運転し始めるのである。

第八識は分別した後に初めて種子を出力し、異なる業種や根身器界に対して異なる種子を輸送し、異なる色法と心法を変造する。これは分別後の結果である。例えば、第八識が胎児の身体を変造する際、どこにどの組織を、どの器官を、どの形状や色彩を変造するかなどを、全て知っている。これが分別後の結果である。また例えば、第八識が衆生の色身を執持し変化させ、色身に対して分別性を生起させると同時に、業種をも分別する。その後、業種や業縁に基づいて、時と場所に応じて色身を変化させる。色身は常に変化を起こし、良くなったり悪くなったり、あるいは死亡したりする。これらは全て不確定であり、第八識が業種に基づいて生じさせる変化である。

第八識の分別と六・七識の分別との違いは、第八識が一切の相を取りながらも、執着がなく、情緒がなく、感情的な色彩がなく、好き嫌いの心行がなく、完全に捨心の機械的なモードで運行し、その特有のプログラムに従い、法爾如是のままに運転する点にある。

第八識が了別する際には情緒的な色彩がなく、境界が心中に映り込む様は、あたかも鏡が像を映すかのようである。しかし、五識と第八識には区別がある。第八識は完全に鏡が像を映すように、好き嫌いがなく、貪りや嫌悪がなく、心行がなく、煩悩や煩悩習気がない。五識が了別する際、境界が心中に現れるのは、完全に鏡が像を映すようにはいかない。眼識などの五識には貪心所法があり、粗い苦楽受があり、好き嫌いがあるため、眼識は喜びを感じる色彩に対しては、ずっと作意し触れ続け、了別し続ける。これが貪である。苦受を感知できる境界に対しては、自動的に回避を選択する。これが嫌悪であり、眼識などの五識の心行である。一方、第八識はどのような境界に対しても、貪ることも嫌うこともなく、執取も回避もせず、運行すべきプログラムと法則に従い、業種が完全に実現されるまで運行を続けるのである。