世の中に秘められたことはあるでしょうか

如来蔵は誰にとっても大変素晴らしいものであり、その機能と性質は想像に難く、智慧が不足している衆生は如来蔵の働きの秘密を理解し難く、あらゆる法に対する如来蔵の執持作用を理解し難い。そのため、如来蔵には不可知の執受があると言われる。智慧が比較的深く広くなると、次第に如来蔵の様々な執受作用を理解するようになるので、もはや如来蔵の執受が不可知であるとは言えなくなる。知るか知らぬかは、各人の修持と智慧による。

如来蔵は常に五陰身に関わる一切の法、および五陰身の生存環境、六塵の境界を変現し、執持している。五陰身のどんな些細なことでも如来蔵は見逃さず、全てを了知し記録するため、将来果報が現れる。例えば、当事者に知られない背後で人を罵倒し侮辱しても、両者の如来蔵は共に記録するため、将来再会した際に理由もなく互いに心の隔たりを感じ、一方が他方に報いることになる。罵られた当事者の五陰は知らなくとも、その如来蔵は知っているため、記録されるのである。

なぜその人の如来蔵が知ることができるのか。各人の如来蔵は体性が同じであり、同類に属し、かつ遍く一切の時に、遍く一切の処に、遍く一切の界に、遍く一切の地に存在するからである。つまり如来蔵は遍く過去・現在・未来の一切の時にわたり、六根の処と六塵の処にわたり、六識の界にわたり、また欲界・色界・無色界にわたり、十方世界に遍在する。したがって、執持する五陰に関わる事柄であれば、如来蔵は全て感知し、了知する。さらに如来蔵同士には相互に協調し合う関係もある。

自らが行う一切のことは、自身の如来蔵が全て記録し、自分に関わる一切のことは、自身の如来蔵が全て収集して記録する。それゆえ意根は如来蔵の了別に依り、自分に関わる一切のことを知り、意識に特別なことが起こりそうだと警戒させる。如来蔵は将来のことを知っているため（具体的な内容は知らなくとも）、五陰が警戒するよう暗示を与えるのである。

二人が密談で他人の是非を議論すれば、両者の如来蔵が記録し、第三者の如来蔵も感知して同時に記録する。すると第三者の意根は自身の如来蔵の感知に依って、自身の意識に警戒を促し、意識は何かあると知る。しかし具体的なことは分からず、心に違和感を覚え、二人に会うと少し不自然になり、その二人もこの人に会うと少し不自然になる。したがってこの世に秘密など全く存在しない。

如来蔵はまた五陰の生存する依報環境、六塵の境界も執持する。六塵の境界が自身の五陰に属するなら如来蔵が執持するが、依報環境が五陰身と縁がなければ、如来蔵は直接執持できず、共業の衆生の如来蔵が共同で執持する。例えばある人が鉢植えを大切に育て、別の人に贈ると、その花は新たな環境で育ちが悪くなり、次第に萎れ枯れることがある。これは衆生の依報に関係する。果樹園の果樹や家畜なども、ある人が管理・飼育すると非常に良いが、人が代わると家畜や果樹の状態が悪化し、様子が変わったり死んだりする。これらは全て業縁による。家畜は縁ある飼い主のもとでは良く育つが、縁のない、あるいは浅い飼い主のもとでは状態が悪化し、死に至ることもある。臓器移植も同様の理であり、他人の如来蔵が執持していた臓器が自己の身体に移ると、次第に自己の如来蔵が単独で執持するようになる。二人の業縁が良くなく意根が拒絶すると、二つの如来蔵はうまく協調・引継ぎできず、移植は成功しない。