「何故、狐疑は生ずるのか」

意根が一旦ある理を認めれば、常に断固たるものであり、いささかの躊躇もない。意識によって思量されたものは必ず狐疑心を伴い、ためらいがちで、反復を繰り返す。自転車に乗るが如く、実際に乗りこなせる者と乗れると思い込んでいる者とは全く異なる心境である。前者は迷いなく行動し、後者は心の底から完全に確信できない。或る者に内なる疑念があっても自覚せず、何の疑問もないと思い込むのは、心が粗雑で内省力が弱く、定力が不足しているためである。ゆえに真実を見ずして、自らを欺くこととなる。