修行者が修正した呼吸観察の体験
1. 坐禅全体の状態は昨夜より明瞭さが増していた。自然呼吸に任せると、左鼻孔から出入りする気は吸気が深く長めで、呼気は清らかで緩やかやや短く、呼出後の停留時間が長い。左鼻孔から喉元にかけて乾燥感があり、吸気時に音が大きく、呼気時に音が小さい。
2. 右側に火を降ろし左側に水を昇らせる観想を試みたところ、観想時には呼吸が極めて微細になり、前述の現象は消失した。注意力を呼吸に戻すと再び元の呼吸状態に復した。
3. 坐禅観行は疲労時や睡魔襲う時を避けるべきである。さもないと混濁しやすく明瞭さを失う。昨夜坐を解き臥床した際、却って自然に鮮明な呼吸観察が生起した。
評:ここでは道家の太極八卦図の修法を援用している。仏教徒の身体構造は外道と異ならないため、身体調整においては外道の方法を参考にできる。彼らの経験は豊富であり、修行に有用なものは取り入れればよい。猫はネズミを捕まえることができれば良い猫である。外道も禅定を修するが、禅定は畢竟身体の修養と心の智慧の修養に資する。我々は禅定を修すべきで、殊更に外道と異なることを強調する必要はない。仮に禅定が外道に及ばず、煩悩が外道より重ければ、かえって他者から嘲笑を招くことになろう。
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