如来蔵の了別は意根の了別と異なります

問：末那が縁とする帯質境は、この帯質境は法塵か、それとも如来蔵の見分か。意根が法塵を縁とする場合と如来蔵の見分を縁とする場合、どのように会通すべきか。

答：如来蔵の運行は、自らの五つの遍行心所法（作意・触・受・想・思）に依る。この五つの心所法が本質境において運行する時、業種や衆生の根身器界を了別する作用を有し、見分作用を発揮して一切法を見、一切法を照了する。これら一切法は如来蔵の見る相分である。如来蔵の思心所が運行した後、帯質境を顕現する。これは如来蔵の思心所が変造したものであり、帯質境こそ如来蔵の相分であり、如来蔵の見分作用が運営した結果であり、見分が顕示した法塵である。

第七識は如来蔵の見分に依って、如来蔵の見分が引き起こす相分（帯質境）を縁とすることができる。故に第七識は如来蔵の見分を縁とし得るが、如来蔵の見る相分とは異なる。一方は本質境、他方は本質境に依って変起した相似境である。譬えば鏡中の火の如く、幻化されたものである。如来蔵の見分が見る本質境も如来蔵が幻化したものではあるが、第七識の見る帯質境は幻中の幻、二次的な顕現である。

勝義根処の相分は帯質境と独影境を含む。帯質境は真帯質と仮帯質に分かれ、変帯と狭帯があり、色法もあれば心法もあり、非色非心法もある。如来蔵が縁とする本質境は四大から成る微粒であり、比較的粗重で実体ある色法である。これに対し帯質境の色法も四大微粒から成るが、微細な色法であり、実体性薄く比較的虚妄である。譬えば人間の色身と鬼神類の色身の差異の如し。本質境は譬えば四大から成る火や水、大地山河等であり、帯質境は鏡に映った火や水、大地山河等に喩えられる。一は実、一は虚。七識は虚法のみを了別し、実法は如来蔵のみが了別し得る。