心所と心王の関係（一）

心王は主であり、心所は従者であり、主の作用である。心王は一瞬ごとに心所法の形で運行し、心所法を離れることができず、心所法が心王を離れれば存在も運行もできない。心王が現れる時は必ず心所法の形で運行し、心所法の運行がなければ心王も存在しない。このうち五遍行心所法は八識の刹那にも離れず、他の心所法は特定の場合にのみ心王に随伴する。心所は心王の杖のようなもので、心王は皇帝に喩えられ、心所は黄袍や冠の如し。

識心の運行とは即ち心所法の運行であり、心所法がなければ識を認め得ず、心所法の運行を見ることは識を見ることと等しい。作意・触・受・想・思の心所法は、八識が所縁の境に生起する識別作用であり、心所法は八識の工具である。心王は決して工具を離れず、人が歩行に必ず脚を用いるように、脚を離れれば歩行できない。八識は身体に喩えられ、心所法は両脚の如し。身体が歩行するには必ず脚を用い、八識が運行造作するには必ず心所法を用いる。

心王と心所の関係を理解しやすくするため、八識を色身に喩え、心所法を目や耳・鼻に喩えよう。色身が活動するには目・耳・鼻などを頼りとし、如来蔵が運行するには心所法を必要とする。あるいは心王をロボットに喩え、心所法をロボットの四肢と見做す。ロボットが作動するには四肢を頼りとし、四肢が活動すればロボットの出現と作動が示される。

五遍行心所法は如来蔵と最も密接不可分で、刹那も離れない。五別境心所法はこれに次ぎ、別々に現行し常時出現しない。善十一心所法は時々現れ、煩悩心所法も時々現れて最終的に滅する。心王が運行する際、毎刹那に五遍行心所法を用い、時に五別境と善十一心所法を用いる。煩悩心所法は各心王に必ずしも具わらず、如来蔵は本来煩悩心所法を具えず、七識の煩悩心所法は修行を通じて最終的に滅尽する。