父子合集経講義（一八二）

阿頼耶識は業種を如実に記録し顕現する

阿頼耶識は公正無私であり、五蘊が私の造ったものだ、私の所有物だと言ってその悪行を隠蔽しようとせず、五蘊がどんな悪業をなしても業種を記録せず顕現しないというような心行はありません。阿頼耶識はカメラのように誠実で偽りなく、五蘊の造作する一切の業行を機械的に自動的に記録します。いかなる選択もせず、一切の行為造作を細大漏らさず如実に記録します。記録された後、種子として心体に保存され、因縁条件が具足すれば業種を顕現させ、種子は根を張り芽を出し、やがて結果を結び、果報が現れます。

阿頼耶識が衆生の業果を如実に実現する事例は極めて多く存在します。例えば甲が前世で乙と悪縁を結んだ場合、乙が今世で甲の家に生まれ変わるのは因縁成熟による種子の発芽であり、子が成長するのは開花に相当します。時節が到来すれば乙は甲を陥れ報復し、甲の果報が現れます。この過程の前半は花や芽、枝葉に相当し、果報到来時に初めて甲はこの子が何のために来たのか、つまり債権取り立てや報復のために来たことを悟る可能性があります。大多数の者は報いを受けた後もこの道理を理解せず、それ以前には全く気付かず、このような特殊な縁があることを知りません。前世の悪縁が二人を一処に集めて業種を清算させるのです。

かつてある男性が故意に鼠を打ち殺したことがありました。たまたまその鼠は雌鼠でした。雌鼠は死後に無念を抱き、報復の悪願を発し、後世に転生して女性となりました。その女性は成長すると男性と出会い、二人は一目惚れして結婚しました。隔陰の迷いがあるため互いを認識せず、前世の因縁が二人を結び付けました。結婚後、女性は男性を一生涯苦しめましたが命は奪わず、男性は生涯苦悩しました。業種が滅せず業報が完遂されない限り、二人は離れられません。何故なら二人の業種は各自の阿頼耶識に保存され、因縁具足時に業種が現行し、根を張り芽を出し花を咲かせ実を結んだからです。二人が遭遇した時、誰もこのような結果を予期しませんでした。これを決定するのは業縁であり、阿頼耶識に保存された種子です。如来蔵もこれを支配せず、ただ業種を如実に現行させるだけです。

衆生間に前世で深い縁があれば、今生で遭遇した際、阿頼耶識が種子を現行させる時、互いに特殊な感覚を生じます。顔を合わせずとも声を聞き、文字や写真を見るだけで、前世の何らかの縁、善縁か悪縁かを感知できます。言葉を交わさずとも異様な感覚を覚えます。名前を聞いただけで特別な感覚を抱く者さえいます。