因縁果報もまた幻化した不実なるものである

衆生の因縁果報はどこに現れるのでしょうか。五陰の身に現れ、色受想行識に現れ、十八界に現れます。五陰の身は幻化されたものであり、十八界も幻化されたもの、宇宙の器世界も幻化されたものであり、一切の人事物は全て幻化されたものです。因縁果報が依存する本体が既に幻化されたものであれば、それ自体も実体のない幻化であり、因縁によって生じ因縁によって滅びます。種子は五陰の身が造作して残すものですが、五陰の身が虚妄で無常であるため、因縁果報も虚妄で無常となります。故に一切の因果も幻化されたものであり、如来蔵以外は全て幻化されたもので、如来蔵が業種と様々な因縁によって幻化したものであって、実法ではありません。例えば衆生が造作する善悪の業と受ける善悪の報いは、全てこれらの世間の虚妄法の上で造作され受報されるのであり、五陰世間が虚妄である以上、これらの業行と果報も当然虚妄なのです。

例えば現世でこの世の王となったり、天に昇って天主となったりしても、王や天主の五陰身は幻化されたものであり、宮殿や玉座は幻化されたもの、生存する宇宙の器世間は幻化されたもの、錦衣玉食は幻化されたもの、全ての大臣や側近たちも幻化されたもので、王や天主の一切は幻化されたものです。また例えば人を殺すことや殺されることといった果報も五陰が造作し承受するもので、これらの悪報はどこから来るのでしょうか。全て如来蔵が業種と因縁によって幻化したもので、五陰の身に現れます。善悪の業報を受けて苦楽などの覚受が生じますが、これらの受も如来蔵が幻化したものであり、全て生滅変異して無常です。そうであるならば、一切の因縁果報は我ではなく、我の所有するものでもなく、これを無我無一切法と申します。

一切の法が幻化されて実体のないものであると知れば、攀縁を減らし、造作を減らし、用心を減らし、できるだけ心を空にするべきです。なぜならば、いかに造作しても全て空であり、無意味な生滅法であって得るものも失うものもないからです。どうして心を休め省みないのでしょうか。ある者は「全てが空であるなら、なぜ多く造作しないのか。悪業を造っても空なのだから、悪業を造ることを恐れる必要はない」と言うかもしれません。しかしもし悪業を造作すれば、心は空ではなくなり、心が空でないまま悪報を受ける時、それは極めて苦悩に満ちたものとなります。その時には苦受も空じることができず、生死を超える苦しみに苛まれるでしょう。誰もこれを望まないはずです。故に心が空であれば悪業を造作せず、一切の操作を減らせば心は次第に清浄になり、空に近づきます。これこそが苦を断ち解脱を得る道なのです。