牢関を超えた境地

黄龍禅師の偈にこうある：「春には百花あり、秋には月あり、夏には涼風あり、冬には雪あり。もし閑事心頭に掛けなければ、これすなわち人間の好時節なり。」

これは禅師たちが牢関を突破した境地を描いたものである。牢関を過ぎた者は、心が清浄となり、もはや世間に未練を持たず、世に生きながらも一事にも捉われず、一法にも未練なく、自己の五蘊に固執せず、自ら証得した真如にも執着しない。心は坦々として蕩々として、何物も留めない。人間界で生活しながら春夏秋冬の四季を経験するが、心には一法も情として留めるものがない。景色は景色、色は色、人は人、物は物であり、一切の法は各々法位に住して自分とは無関係である。世に生きて飲食を摂るが、世間に貪着せず、内心はすでに解脱を得て、拘束されるものはない。