衆生無辺誓い度す
煩悩無尽誓い断つ
法門無量誓い学ぶ
仏道無上誓い成す

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日常開示

2021年03月16日    火曜日     第5 回の開示 合計3194回の開示

唯識論による催眠療法の原理分析

催眠療法とは、被催眠者が誘導によって潜在意識の深層に到達する状態を指します。この時、被催眠者の潜在意識における防御メカニズムが大幅に解除されるため、誘導による治療法は容易に深層心理レベルに働きかけることが可能となります。一方、覚醒状態では防御メカニズムの有効な保護作用により、深層への介入が困難となります。

この意味するところは、覚醒状態において意識心が極めて活発に作用し、第七識である末那識の我執性に基づいて、自我に対する計画・打算・利害得失の計算などを展開し、いわゆる自我を効果的に保護していることです。これにより、末那識の直情的性質や無打算性が発揮されず、末那識が自我を執着する強力な手段を保持しています。意識が微弱化すると、末那識は自我を執着する強力な手段を失い、直情的性質・素朴性・幼稚性・原始性・被誘導性を顕現させることになります。

催眠状態では、意識の思考分析活動が抑制され、思考・分析・判断・設計・打算が不可能となります。防御メカニズムが消失するため、末那識に分析思考の報告を提出できず、末那識を導き制御する参謀役を果たせなくなります。これにより末那識の自己防衛能力は喪失し、自己利益を守るための虚言を意識に指示することもできず、事実をあるがままに述べるようになります。同時に末那識は外界の要因に誘導されやすく、善に遇すれば善となり、悪に遇すれば悪となるというように、境界に随順して流転します。この時、外部からの力を以て意識に代わり末那識を導き、末那識が外力の啓発・誘導に従って変化するよう促せば、自我の潜在能力が発現し、心霊が覚醒され、精神的な疾患が治癒され、心理的健康な発展が可能となります。

防御メカニズムとは、末那識が意識心の打算・巧善・分析・計算などの機能を利用し、一定の手段を講じて自己を保護することを指します。しかし末那識自体は手段の選択に関する思考分析が不可能であり、必ず意識の分析思考に依存し、意識の献策を通じて自己防衛方法を決定した後、六識を指揮して自己を保護します。

末那識は刹那刹那に自己防衛を志向しますが、意識の助力がなければ無力です。末那識には仕組みがなく、智慧が劣るため思考打算ができず、計算もできません。意識の誤った教導がなければ、末那識は極めて直情的に現れ、嘘偽り・欺瞞・計略・計算をせず、いわゆる自己防衛を行いません。意識の自己防衛は末那識の我執から離れず、防衛計画は末那識の承認を経て初めて具体的な実行に移されます。もし末那識が意識の導きや教示を受けなければ、末那識単独では何ら防衛できず、計算も打算も悪巧みも婉曲な自己隠蔽もできず、完全に慣性的に行動し、直情的で無防備な状態を呈します。

催眠によって意識が潜在意識に入ると、末那識の知性と前世との連関が顕現し、末那識が過去世の事柄を浮上させる可能性があります。末那識は過去世の無量劫にわたって連続しており、決して滅することなく、過去世の業種との結び付きが意識よりもはるかに密接です。ただしこれを表現できないため、意識はこれらの事柄を認識できず、これが隔陰の謎と呼ばれます。催眠によって意識心自体が知らない過去世の事象が顕現するのは、末那識がこれを明らかにするためです。末那識には極めて多くの秘密が内在していますが、意識は通常これを了別できず、また末那識自体に名言がないため自ら表現できません。従って意識はこれを了別することができないのです。

——生如法師の開示
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